キリのいい所までやらないほうが効率的?「未完了」がやる気スイッチを押す理由写真はイメージです Photo:PIXTA

「キリのいいところまで作業を終わらせたい」と思うのは自然な感覚だ。だが、あえて“途中”で止めるほうが、その後の集中や継続につながるケースがあるという。やり切らないほうがうまくいく理由とは。※本稿は、言語学者の堀田秀吾『最先端研究でわかった頭のいい人がやっている 言語化の習慣』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

意外!?キリが悪いところで
作業を中断するメリット

 仕事や勉強をしていて、「あと少しで終わるけど、今日はここまでにしておこう」と中断したら、翌日すぐに続きをやりたくなったなんていう経験はありませんか?これは、単なる気まぐれではなく、人間の脳の特性が原因になっています。

 ロシアの心理学者ツァイガルニクは、1920年代にこの現象を体系的に調べました。実験参加者にパズルや計算問題、工作などの作業を与え、途中で中断する場合と最後までやり切る場合の記憶を比較しました。結果、未完了の作業は完了した作業よりも約2倍も記憶に残りやすいことが明らかになりました。

 脳は、未解決の課題を「気になる情報」として保持し続けます。これは、終わっていないことが危険や不利益を招く可能性があるため、それを忘れないようにする生存戦略とも考えられます。この性質を逆手に取れば、「あえて途中でやめる」ことで、翌日以降も集中力を維持しやすくなるのです。

 そのような傾向は、実験者の名前をとって、「ツァイガルニク効果」と呼ばれています。

 この効果は短期記憶だけでなく、行動選択にも影響します。