コーネル大学のギロビッチメドヴェックの研究によれば、人は「やった後悔」よりも「やらなかった後悔」を長く引きずる傾向があります。行動しなかったことは、未完了のまま心に残り続けるからです。

 つまり、ツァイガルニク効果は、単に記憶の話に留まらず、私たちの意思決定や後悔の感情にも関わっています。

 ことばを上手に使えば、この効果をさらに強化できます。

 未完了のタスクをただ頭の中で抱えておくのではなく、「どこまで進めたのか、どこから再開するのか」を具体的に書き出しておくのです。

 たとえば、原稿の執筆であれば、「次は第3段落の冒頭から。テーマは○○」とメモしておけば、再開時の心理的ハードルが下がり、集中状態にスムーズに戻れます。

 これは、「イフゼンプランニング」(編集部注/「もし○○したら△△する」など、ことばが行動のスイッチになる仕組み)とも親和性が高く、「もし机に向かったら、第3段落から書き始める」という行動スイッチをあらかじめ設定しておくということでもあります。

 結局、ツァイガルニク効果は「未完了のモヤモヤ」を行動の燃料に変える方法です。中途半端なままで残すことは、必ずしも悪いことではありません。むしろ、意図的に使えば集中力を長く維持し、次の行動を自然に引き寄せる力になります。

 未完了な状態をただの不安やストレスにせず、明確な再開プランとして言語化することで、脳の「続きが気になる」という性質を最大限に活かすことができるのです。

 ちなみに、小説家の村上春樹さんは、どんなに書きたいことがあっても、予定していた時間が来たら、わざと途中でやめておくそうです。そうすることで、翌日、また書きたいことが花開いていくそうです。途中で終えているからこそ、気になっていろいろと考え発想が膨らんでいくのでしょうね。

言語化のよい習慣
あえて途中でやめて、再開の仕方をメモしておく。

ノッているときこそ休む!
戦略的休憩のススメ

 集中して作業をしているとき、ノっているときには、なかなか作業をやめずにこのまま続けたいと思いがちです。しかし、脳的には、適度な休憩や気分転換こそが、作業効率や創造性を高める「隠れたブースター(増幅器)」です。