「この世はうらめしい。けど、すばらしい。」

タエ「苦しかったわね」
三之丞「雨清水の人間であることは、うらめしく思ったこともありました」
タエ「わたくしもです。ですが、生きてきてよかった。命をなんとかつないで。こんなふうにはなってしまいましたが、雨清水を残してこられて」

 このときのタエは武家の生まれの顔をしていると感じる。

 傳(堤真一)の遺影が映る。

 この場面はちょうど10年前に放送された朝ドラ『あさが来た』(2015年度後期)で主人公のあさ(波瑠)が姉・はつ(宮﨑あおい)と、長い人生を振り返り、私たちは家を守れただろうかと話し合うシーンを彷彿(ほうふつ)とさせる。

 ふたりは食事にする。三之丞が「失礼を承知で、母上の料理がこのごろ、おいしいです」。

「そうよね。私もそう思います」

 ようやく本音を話せる親子になったのだ。

「はー」と汁物を飲んで三之丞が小さく嘆息する。トキみたいだ(トキより上品だが)。これは台本にはなかったと橋爪CP。

「台本には書いてありませんでした。板垣さんの発案かな。ディレクターの村橋直樹と相談したかもしれません。あの一言でトキと家族になったような気もしますよね」

「はー」があるだけでシーンの格が上がったと筆者には思えた。

「それこそ『この世はうらめしい。けど、すばらしい。』というドラマのキャッチコピーを表しているようです。いろいろなことがあったけれど、2人は生きているし、これから先もきっと生きていけるでしょう。家や伝統に苦しめられることもあれば、助けられることもある。どちらがいいか分からないけれど、たくましく生きていこうということです」と橋爪CP。

 そして、松江中学。錦織が久々に登校するが、具合が相当悪そうだ。

 庄田は、県知事閣下の説得を頼まれた話をするが、錦織はやっぱり県知事に話す気はなさそう。

 雨清水家問題は解決したが、県知事問題は難しそう。いや、それより、解決してほしいのは、ヘブンと錦織問題である。

板垣李光人の「台本になかったセリフ」が最高!シーンの格が上がったワケ〈ばけばけ第113回〉
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