仕事ができない人ほどマニュアルに固執し、イレギュラーな事態に応用が利かない。実は「料理」もまったく同じだ。「レシピを見ないと作れない」「冷蔵庫のありあわせでパパッと作れない」という人は、料理センスがないのではなく、物事の本質を「要素分解」できていないだけなのだ。本稿では、文筆家・情報キュレーターの佐々木俊尚氏の新刊『人生を救う 名もなき料理』から一部を抜粋・再構成し、レシピの支配から抜け出し、圧倒的な生産性を手に入れるための「料理の思考法」をお届けする。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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料理を「要素分解」する理由
「要素に分解して、もう一度組み立てる」は、実はとても重要なポイントだ。
味の全体像は変えずに、料理をシンプルに作り直してみる。これは本書があなたに届けたい最大のメッセージでもある。
家庭料理も同じである。わたしは25年ぐらい、自分と妻のために自宅の台所で朝晩と料理を作り続けている。
この行為をゼロベースでとらえ直すとどうなるか。自分自身がどのようにして料理を作っているのかを要素分解してみたらどうなるだろうか。
そこを突き詰めたのが、あなたが今読んでいるこの本なのである。
家庭料理というものをいったん要素分解してバラバラにし、すっきりとシンプルにして組み立て直し、メソッドにする。
余計な要素や無廃な要素はこれによってふるい落とされ、家庭料理はより気楽でかんたんなものになるのだ。
料理の構造は、とてもシンプル
炒めるというのは今さら説明する話でもないが、フライパンに油を熱し、素材を入れて熱する調理だ。
基本的にはみな同じである。
たとえば豚肉の炒め料理のレシピは世の中に無限にあるが、「どういう味つけにするか」「野菜などどんな食材と組み合わせるか」という二点によって違いが出てくるということになる。
シンプルに要素分解すれば、ただそれだけのことなのである。
一見無限にあるレシピも、根本まで「要素分解」してしまえばシンプルな組み合わせに過ぎない。仕事ができる人は物事の構造を分解して「型」を身につけているため、目の前の食材から瞬時に最適解を導き出せるのだ。
(本記事は、書籍『人生を救う 名もなき料理』を抜粋・再編集したものです)
1961年生まれ、文筆家。テクノロジーから政治、経済、社会、ライフスタイルにいたるまで縦横無尽に発信している。現在は東京・長野・福井の三拠点生活を送り、コロナ以後に注目されてきている移動生活の先駆者でもある。妻は、イラストレーターの松尾たいこさん。一緒に暮らし始めたときから、料理は全面的に担当。その毎日の食卓を織り交ぜつつ、手際のよい調理の仕方、献立の立て方などを紹介した著書『家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)は、大きな話題を呼んだ。『人生を救う 名もなき料理』は、12年ぶりの料理関連の書き下ろしとなる。







