◆損しがちな株の選び方ワースト1は?
ゴールドマン・サックスに入社し、マネージング・ディレクターに就任、アジアのトレーディングチームを率いた。その後、200兆円超の運用残高を誇る世界有数の機関投資家・ゆうちょ銀行で投資戦略を牽引。そんなマーケットの最前線を知り尽くしたトレーダーが、個人投資家が一生使える「オルカン」「S&P500」の“次の投資術”を徹底指南した初の著書『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)。投資初心者でも実践できるよう、徹底的にわかりやすく投資手法を体系化。ゴールドマン・サックス仕込みの「投資思考」や「オルカン+4資産均等型」といった実践的なポートフォリオ(資産配分)の構築方法、有望な個別株の見つけ方まで、「オルカン」「S&P500」の“次に知るべき”ノウハウが満載!

【ゴールドマン・サックスの元トレーダーが教える】なぜ利回りだけで株を買ってはいけないのか?資産が減ってしまう「高配当株のワナ」Photo: Adobe Stock

インカムゲインを狙う「高配当」というファクター

配当利回りの高い銘柄を優先的に購入する「高配当株投資」では、ファクターは「配当利回り」です。つまり、投資額に対する「配当利回り」を重視して、「配当利回り5%以上」などを目安に、業績なども加味しつつ投資判断をします。

日本では(特に高齢者を中心に)配当金を生活費の足しにしようとする人が多く、その観点から高配当株投資をするのは一定の合理性があります。

目先の果実に潜む「心理的バイアス」と不都合な真実

ただし、行動経済学という分野では「人は将来の利益よりも目先の利益を選択しやすい」とされています。直近でもらえる配当金につられて、高配当株を過大評価しがちな側面があります。

高配当株ではあるものの、株価は思ったほど上がらないということはままあることです。実は「高配当を続ける会社は超過リターンを得やすい」という確固たるアカデミアの研究成果もありません。

【解説】中長期的にしっかりと資産を増やす視点

高配当株投資に潜む「罠」を避け、中長期的にしっかりと資産を増やすための具体的な視点を解説します。

1.危険な「高配当の罠」を見抜く

配当利回りは「1株当たりの配当金÷株価」で計算されます。つまり、企業の業績が悪化して株価が急落した場合、配当金が据え置かれている間は、計算上の配当利回りが一時的に高く見えてしまうのです。

このような銘柄に「利回りが高いから」と飛びつくと、後になって業績悪化を理由に配当が減らされ(減配)、さらに株価も下落して大きな損失を被る「高配当の罠(バリュートラップ)」に陥る危険性があります。目先のパーセンテージだけを鵜呑みにせず、「なぜその利回りになっているのか」という背景を確認することが第一歩です。

2.「配当」と「株価」のトータルリターンで考える

投資の本当の成果は、もらった配当金(インカムゲイン)と、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)を足し合わせた「トータルリターン」で測る必要があります。

企業が稼いだ利益のほとんどを配当として吐き出してしまうと、新たな事業や研究開発に回す資金が枯渇してしまいます。結果として企業の成長が止まり、株価が上がりにくくなるのです。「配当は高いが、株価はずっと右肩下がり」という銘柄は、トータルで見ると実は資産が目減りしているケースが少なくありません。

3.「今の高配当」より「未来の増配」を狙う

高配当株投資を真の意味で成功させるアプローチは、現在の利回りだけでなく、「今後も配当を増やし続ける力(連続増配力)」に注目することです。

利益をしっかりと稼ぎ出し、無理のない範囲で配当を出しながら成長投資も行っている企業を探します。具体的には、稼いだ利益のうちどれだけを配当に回しているかを示す「配当性向」をチェックし、高すぎないか(余力を残しているか)を確認することが非常に有効な防衛策となります。

※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。