「すんなり値上げに成功した」中小企業が採用した“頭のいい仕組み”の正体写真はイメージです Photo:PIXTA

さまざまな商品が値上がりしています。原材料費や人件費の高騰が続く中、やむを得ない判断です。しかし、そうした中でも値上げに踏み切れない中小企業があります。どうすればこの課題を解決できるのでしょうか。(小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)

値上げに踏み切れない
本質的な問題とは?

 今、多くの企業が値上げに踏み切っています。原材料費やエネルギーコスト、人件費の上昇が続く以上、価格改定は自然な経営判断です。

 しかし、それでも値上げを躊躇(ちゅうちょ)する中小企業経営者は少なくありません。取引先との長年の関係や、競合に顧客を奪われるのではないかという不安が決断を鈍らせるのです。

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 現在、日本は以前のデフレ時代とは正反対のインフレ局面にあります。消費者物価指数は年率2~3%台で推移し、価格改定への社会的な抵抗感は以前より小さくなっています。ある程度の価格見直しはやむを得ないという認識も広がり、値上げを切り出す環境は以前より確実に整ってきています。外食などでは特にそうです。

 それでも踏み切れないとすれば、問題は外部環境ではありません。自社の提供価値で十分な差別化ができていないことが本質です。

 そして、その差別化の要因を言語化できなければ、説明できない。説明できなければ、価格の根拠を示せない。その結果、価格に自信を持てなくなるのです。

 顧客が商品・サービスを選ぶ判断軸は「Q・P・S」の三つです。クオリティー(品質=Q)、プライス(価格=P)、そして価格以外の付加価値であるサービスや利便性(=S)です。

 保険商品のようにQとPが横並びになりやすい分野では、代理店の対応力や手続きのスムーズさ、担当者との信頼関係といったSの差異が競争を左右します。一般的な商品・サービスでは三軸全てが評価対象となります。自社がどの軸で差別化しているかを明確にしなければ、価格はそもそも決められません。

 ここで重要な問いがあります。