遊郭、新聞、人柱!前作「ばけばけ」と見比べたくなる“日本の西洋化”が味わい深い〈風、薫る第51回〉『風、薫る』第51回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第51回(2026年6月8日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)

誰かが声を上げなければ、社会は変わらない

 いよいよシマケン(佐野晶哉)が世間に注目されるときが来た。

 これまで、目的がわかりづらいまま、ちょいちょい挟まれてきたシマケンが、話の中心に躍り出る。シマケンが「廃娼運動」に関わってくるのだ。

 心中未遂の生き残り・夕凪(村上穂乃佳)は源氏名。本名は魚住セツだった。セツとは朝ドラの前作『ばけばけ』(25年度後期)の主人公トキ(高石あかり、「高」の表記は正確には「はしごだか」)のモデルである小泉セツと同じ名前だ。『ばけばけ』でもトキの友人が遊郭で働いていた。

『ばけばけ』と『風、薫る』は明治維新が起こったあと、日本が西洋化していく同じ頃を描いている。第11週「凪(なぎ)にそよぐ」(演出:佐々木善春)の初日である第51回は、シマケンではなく、前作『ばけばけ』を思い出すようなエピソードではじまる。

 夕凪(セツ)を助けるためにりん(見上愛)は「廃娼運動」の記事を書いたジャーナリストを訪ねる。

 綿貫正平(小松和重)は東京明光新報という新聞の編集長。

 彼が言うには、これまで女郎の自由廃業(当人の意思で辞める)の例はほとんどない。女郎がいい仕事で皆、辞める気がないわけでは断じてなく、辞めたくても辞められないシステムになっているのだ。だからこそ「廃娼運動」を展開している。

 綿貫は、夕凪(セツ)に取材したいとりんに言う。遊郭に取材を申し込むのは難しいので、いい機会だと思ったのだ。

 活動家の人を紹介すると言われたが、記事になったときのことをりんは心配する。それでなくても病院に遊郭の主人が乗り込んできているのに、廃娼運動の矢面に立つと面倒なことになりそうだ。

 綿貫「しかし、誰かが声を上げなければ、社会は変わらないんです」
 りん「人柱になれということですか?」
 綿貫「まあそういうことになりますね」