美濃三人衆とは何者か

 主である斎藤龍興を見限った美濃三人衆とは、稲葉良通(一鉄)、安藤守就、氏家直元(卜全)の三人です。

 彼らは単なる家臣ではなく、それぞれ城と兵を持つ、美濃に土着した国人領主でした。つまり、斎藤家が美濃を支配するより、ずっと前から美濃に根を張り、領民を守ってきた存在だったのです。
 そのため、彼らの価値観は「主君への絶対忠義」ではなく、「自分たちの領地と民を守れる主君に従う」というものでした。当然のことながら、主が頼りなければ別の勢力に乗り換えることも厭わない存在だったわけです。

美濃三人衆の一人、稲葉良通(演:嶋尾康史)美濃三人衆の一人、稲葉良通(演:嶋尾康史) (C)NHK
美濃三人衆の一人、安藤守就(演:田中哲司)。前回記事で解説した竹中半兵衛の義理の父に当たる (C)NHK美濃三人衆の一人、安藤守就(演:田中哲司)。前回記事で解説した竹中半兵衛の義理の父に当たる (C)NHK
美濃三人衆の一人、氏家直元(演:河内大和) (C)NHK美濃三人衆の一人、氏家直元(演:河内大和) (C)NHK

若き龍興の失政

 父の義龍が急死した後、わずか14歳の龍興が一人で政治を行うことには無理があり、美濃の政治は重臣たちの合議制によって行われることになりました。

 ところが、『信長公記』によると、龍興は「酒色におぼれ、重臣の意見を聞かなくなっていった」とされており、外交と軍事でも失敗が続きました。

 軍事面では、信長が三河の徳川家康と清洲同盟を結び、背後を固めて美濃への侵攻を繰り返すようになり、龍興は苦戦を強いられます。外交面でも、北近江の浅井長政との同盟を狙った龍興に対し、信長が妹のお市を長政に嫁がせて先手を打ちました。

 戦も外交も成果がなく、しかも重臣を軽んじる。これでは国人たちが不安を抱くのも無理はありません。

その頃、織田信長の家臣である豊臣秀吉(左、演:池松壮亮)と秀長(中、演:仲野太賀)は、斎藤家の家臣だが斎藤龍興を稲葉山城から追い出した竹中半兵衛(右、演:菅田将暉)を味方につけようと説得していた (C)NHKその頃、織田信長の家臣である豊臣秀吉(左、演:池松壮亮)と秀長(中、演:仲野太賀)は、斎藤家の家臣だが斎藤龍興を稲葉山城から追い出した竹中半兵衛(右、演:菅田将暉)を味方につけようと説得していた (C)NHK