出張から戻ってきた中田堅二課長。女子社員のお土産に、と地元伝統の駄菓子を買ってきた。かりんとうや豆菓子など、昔懐かしい素朴なおやつである。
「これ、よかったらお茶うけにしてよ」
と女性陣に差し出したところ、わっと歓声が上がった。
「やった~。和のスイーツですね♪おいしそう!」
「ダイエット中だから、こういうスイーツ、うれしいです。午前中頑張ったごほうびってことで、今食べちゃお」
さっそく頬張る女性たち。しかし、中田課長にはひっかかるものがあった。
「あのう、恥をしのんで聞くけどスイーツってなに?この頃よく聞くけど」
「だから、スイーツはお菓子ですよ、おやつのこと」
「だって、これ駄菓子なんだよ。スイーツって、フランス人のパテシィエなんかが作った高級菓子みたいなのじゃないの?」
「いいんです、私たちがスイーツだと思えばスイーツなんですってば!」
男性には理解できない
「スイーツ(笑)」の世界
「スイーツ(笑)」は、昨年の「ネット流行語大賞2007」(未来検索ブラジル主催)で銀賞に輝いた言葉だ。冒頭のやりとりでは「お菓子」のことだが、インターネットの世界では少し違う。
お菓子を「スイーツ」と呼ぶような女性――つまり、女性誌が取り上げる流行やグルメに走ったり、人気モデルのファッションやライフスタイルをそのまま真似たりする女性のことだ。インターネットのオピニオンリーダー、すなわち若い男性たちは、そんな彼女たちへの冷笑をこめて語尾に「(笑)」をつけている。
「スイーツ(笑)」に限らず、一般に女性が愛読する雑誌の内容は、男性には受け入れがたいものかもしれない。ページを繰れば、女性の夢や欲望、見栄を刺激する見出しがそこかしこに踊っており、なんともこそばゆい気持ちになるのではないか。
そこで最近の女性誌の見出しを調べてみた。
■次世代愛されEYEのキーワードは“切れ長カーヴィ”〈アイメイクが秋、変わる〉りかちゃんEYEになりたい!! (Ray 2008/10月号)
■おしゃれをする、知性を磨く、おいしいものを食べる!『銀座コア』で、自分にごほうび (Hanako 09/27日号)
■クリスマスだからわがまま聞いて!『ダーリンお願い』Xmasおねだりジュエリー (Ray 2008/01月号)
■[2008年・夏限定のCOOL&SWEET バランス]キーワードは『女優カワイイ』 (25ans 2008/07月号)
■[paris special]プラネット・ウーマンの旅計画 今こそ、エコ・リュクスなパリへ! もともとエコで、でもいつだってリュクスな気分を満喫できるパリ。今年はエコ・リュクスをキーワードにパリの街を探索してみよう! (marie claire 2008/10月号)