シリコンバレーで今、ハーバード大学に入学するよりも入社が難しいと評され、優秀なエンジニアがこぞって集まるのが、CRMソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービスを提供するセールスフォース・ドットコムです。エンプロイーサクセス シニア・バイスプレジデントのモニカ・ファールブッシュ氏と執行役員 人事本部長 石井早苗氏にお話を伺いました。(撮影・編集部)
会社への不満、課題は
みんなが自由に話す
本田 御社は、すでに従業員1万人を超える大企業ですが、ベンチャーらしい自由さを今も色濃く残していますよね。
モニカ 社員を縛り付けるようなルールをたくさん作りすぎると、ガチガチの会社になってしまいます。実際、ほとんどないですね。Chatterという社内ツイッターのような仕組みが自社製品にあるんですが、これも自由に発信できます。また、仕事に関しても4ヵ月おきに、こういうことがやりたい、と申し出ることができるオープンマーケットという仕組みもあります。
本田 社員の声をうまく拾っているんですね。
モニカ バックエンドのビジネスのソフトの表側にソーシャルな機能を結びつけていて、自分たちもヘビーユーザーとして使っているんですが、自分たちが好きなことを話せるようにしています。ここに発言することは、人事もコントロールできないし、PRもコントロールできない。まったく社員の手の中にあるんです。彼らを信頼して、何でも話せるようにしています。
本田 そんな勝手に社員がしゃべれる環境を作っていいのか、と他社からも質問を受けるそうですね。
モニカ はい(笑)。Chatterのグループの中には、さまざまあって、会社に対する文句を言うためのグループもあります。例えば、社内が暑すぎる、とか、会社の通勤シャトルのルートは変えられないのか、とか、××はいつもどうしてダウンしているんだ、とか。みんなが自由に文句を言えるようにしている。ソーシャルネットワークと同じです。そして、そこに会社が割って入って、我々が修理します、というのではなく、社員同士が助け合い、社員同士が回答を出して解決していくという方法を採っています。
本田 発言は誰のものか分かるようになっているんですか?
モニカ はい。それ自体が重要なポイントなのですが、社員は自分の名前を出して、自分の立場も明らかにして発言するのです。自由に会社に文句を言わせるかわりに、実はそれを改善できる当事者は自分たちであるということを認識させられるということ。会社がネガティブな雰囲気にならないよう、この仕組みは大いにプラスに働いていると思います。