◆部下にストレスを抱えているのは、あなた自身が原因かも!?
部下が動かない、Z世代との距離感がつかめない……そんな悩みを解決するのが、ソフトバンク「汐留の母」と呼ばれた澤田清恵著『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)だ。生身のリーダーに求められる最強の武器は生成AIには代替できない「コミュ力(共感力)」。単なる同情ではなく、相手の視点を論理的に理解する「認知的共感」の技術を体系化した、悩める上司たちの「読むサプリ」だ。呼吸を合わせる基本から、自身の無意識を言語化する応用、さらには「飲み会の失敗事例」や「エース部下の退職」といった実例に基づく「しくじり」分析まで網羅。表面的なテクニックではなく、心・技・体を整え、信頼で組織を動かすための実践的ノウハウが詰まった決定版!
※本稿は、『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

上司が「感情に寄り添う」ほど部下は離れる…生成AI全盛時代にリーダーが磨くべきたった1つのことPhoto: Adobe Stock

日本人の共感力が「意外に低い」ワケ

「場の空気を読む」という表現があるように、日本では他人への気配りや同調が重視されてきました。同調圧力が強く、「出る杭は打たれる」といわれるのも、そのためでしょう。

ところが、アメリカとの比較調査(「Emotion」2024年10月号)によると、日本人は困っている人への“共感的関心”が、意外にも低いという結果が出ています。研究者によれば、日本では困難や苦しみを「社会的ルールに違反した報い」と見なす傾向が強く、それが共感的関心を妨げている可能性があるそうなのです。

共感力は「才能」ではなく「習慣」

私は、空気を読みすぎて他人に合わせる“ムラ社会的共感”には、むしろ慎重であるべきだと思います。これからの時代に必要なのは、同調ではなく「調和」です。

つまり、自分の意見をしっかりと持ちつつ、異なる考えの相手にもリスペクトを持って接する。そんな“温かくも強い共感力”こそが、いま求められているのです。

それは特別な才能ではなく、小さな習慣と心がけで、誰でも身につけることができます。

【解説】「察する」文化からの脱却

これまでの日本企業では、「空気を読む」「阿吽(あうん)の呼吸」といった同質性を前提としたコミュニケーションが機能してきました。しかし、バックグラウンドの異なるメンバーや、価値観の異なるZ世代の部下が増えた今、単なる「同調」や「空気を読む」ことだけでは、組織運営は立ち行かなくなっています。

ここでリーダーに求められるのが、「温かくも強い共感力」です。これは、相手の顔色をうかがって意見を合わせることではありません。自分の軸を持ちながらも、相手がなぜそう考えるのか、どのような背景があるのかを一歩引いた視点で論理的に理解しようとする「認知的共感」です。

感情に流されない「知的な共感」

この「認知的共感」こそが、AI時代にリーダーが身につけるべき最強のビジネススキルであるという点です。

感情の渦に巻き込まれることなく、客観的に状況を把握し、部下の成長や課題解決につなげる――そうした「知的な共感」は、特別な才能ではなく、日々の小さな習慣で鍛えることができます。

※本稿は、『伝え方ひとつで部下が動き出す 上司の「コミュ力」大全』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。