従業員は340億円分も給与カット→経営陣は200億円ボーナス出るって、どういうこと?【ROE経営の罪】写真はイメージです Photo:PIXTA

従業員の給与カットで企業価値を上げた後、経営陣がボーナスを受け取るのはアリなのか...?この問いに「当然だ」と答える国が2カ国だけあった。それはどこか?シリコンバレーで全米屈指のベンチャーキャピタリストとなった原 丈人氏は、ビジネススクールが広めた経営の「常識」に疑問を投げかける。※本稿は、原 丈人『THE BEST WORK「最高の仕事」を生きる』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです。

従業員は340億円分も給与カット
→経営陣はボーナス、どういうこと?

 残念ながら今もアメリカ流のコーポレート・ガバナンス理論は世界に広がり、ROE(自己資本利益率)やIRR(内部収益率)といった指標を過度に重視する経営が日本でも一般的になりつつある。

 私はこうした経営手法の先に、働く人たちの「幸せな未来」はやってこないと考えている。

 なぜなら、アメリカで数々の残念な先行事例を見てきたからだ。

 株主から短期間で高いリターンを要求される経営者が、中長期の研究開発を捨てて効率化やリストラに腐心し、ストックオプションを駆使して、自分の利益をいかに貪ってきたか。例えば、アメリカン航空。

 2008年、航空業界は不況に見舞われていた。そのときアメリカン航空の経営陣は「会社が潰れてしまうので協力してくれ」と、従業員に対して当時のレートで340億円分の給与の削減を迫った。

 航空業界全体が不況なので、会社が潰れた場合に従業員たちがユナイテッド航空やデルタ航空などの同業他社に再就職できる可能性はほとんどない。そこで従業員たちは仕方なく「給与削減の要求」を受け入れたのだ。