「売却」というより「素晴らしい結婚」
独立経営を約束させたアマゾンへの売却
「アマゾンに売却」が意味するところは、2009年にアマゾンの買収提案を受け入れ、アマゾン傘下に入ったことを指しています。アマゾンの創業者であり、CEOのジェフ・ベゾスからはそれまでも何回かオファーがありましたが、買収後の経営方針をめぐって意見の統一ができませんでした。粘り強い交渉の末、トニーはジェフから「ザッポスのブランドと企業文化を築き上げること」、すなわち買収後も独立体として経営を続けることの許可を取り付けました。以降、ザッポスはアマゾンの経営資源の多くにアクセスしながら、成長速度を上げています。
(買収のシナリオを)会社を売却するというよりも素晴らしい結婚として描いていました。両社とも顧客中心ということを徹底して重視しており、ただ異なるアプローチを取っていただけなのです。ザッポスはよりハイタッチであり、アマゾンはよりハイテクだということです。(359ページ)
トニーの夢は、たとえば「ザッポスエアライン」のような航空会社を設立して究極のカスタマー・サービスを手がけること。「米国では航空機の遅延率を改善するだけでカスタマー・サービスになる(笑)。10年後、ザッポスは単なる会社ではなく、もっと高い次元の目標を持った事業体であると思われていたい。私たちはもっと社会に貢献したいし、人々にインスピレーションを与えたいと願っています」。
次回は7月18日更新予定です。
◇今回の書籍 22/100冊目
『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説』
アマゾンを震撼させた!?全米のマスコミ、ブロガー、SNSで絶賛されるインターネット時代の感動のサービス。追随をゆるさないサービスの土台となる強烈なブランド、理念、企業文化ができるまでを、全米一のフォロワー数を持つ若きCEOの半生を通じて描く。
トニー・シェイ 著
本荘修二 監訳、豊田早苗/本荘修二 訳
定価(税込)1,680円
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