「将来稼ぎ出す莫大なお金」こそ強力なインフレ対策

 研究レポートには次のように記されている。

《大半において、ほぼすべての年齢層が、各年代で収入の伸びがインフレ率を上回る結果となった。最も高齢の賃金層である55歳でさえ、概してインフレを上回るか、あるいは同等の水準を維持している。 留意すべき第二の点は、若年層(研究原文では「25歳の若者」と表記)の金融資本はインフレショック時に成長資産に投資されている可能性が高いということだ》

《最も一般的に投資されている資産クラスは、過去40年間の各年代においてインフレを上回るリターンを記録してきた。 十分な時間があれば、賃金と資産の成長は、インフレショックによる損失を克服する可能性が非常に高い。一方で、もし明確なインフレヘッジ(対策)を行っていた場合、機会損失という別の種類のリスクに直面する可能性がある》
 (出典:ブラックロック・インサイト『How should target date strategies hedge inflation?』、2025年7月21日)

 つまり、過去40年という長い歴史を振り返っても、世の中の物価が上がるスピードよりも、人々の給料が上がるスピードの方が早かったということだ。

 特に20代から40代といった現役世代は、これから先何十年も働き続ける期間が残っている。その「将来稼ぎ出す莫大なお金」こそが、どんな金融テクニックよりも確実で強力なインフレ対策になるのである。

 では、手元の資金を使って「インフレに強い資産(金などの実物商品や物価連動国債など)」を買う必要は全くないのだろうか。

 ブラックロックの研究(『Inflation and target date strategies』、2025年7月22日)は、若いうちから過度なインフレ対策の投資をすることの「罠(コスト)」についても鋭く警告している。

 インフレに強いと言われる資産は、たしかに物価が上がったショック時には価値が下がりにくい。しかし、長期的に見ると、株式などの「成長資産」に比べて、利益を生み出す力が非常に弱いという大きな欠点がある。