「論破」で得られるのは、ちっぽけな自尊心だけ

――最近は、相手を理詰めで打ち負かす「論破」がもてはやされる風潮もありますよね。SNSでも論破し合うやり取りが人気だったりします。

 私がテレビに出始めた頃にも、そういう空気はありましたよ。「相手を言い負かせる人が賢い」という。

 でもね、私は思うんです。相手を論破して得られるものは「自分のちっぽけな自尊心が満たされること」それだけなんですよ。

 人間関係においては、メリットがありません。むしろ、確実に敵を作る。論破された相手は、表面上は黙っても、心の中では恨みを抱えている。その恨みが、いつ、どんな形で返ってくるか分からない。「正しいこと」と「言うべきこと」は、必ずしも一致しないんです。

 もちろん、天気を伝える仕事の中では、真実を真っ直ぐに伝えなければいけません。「明日は晴れます」と言ったのに雨が降ったら、視聴者の生活に影響が出る。そこでは絶対に嘘はつかない。妥協もしない。

 でも、それ以外のところでは「馬鹿と思われることをいとわない」「プライドを捨てる」という考え方で、私はテレビの世界を泳いできました。

お天気キャスター・森田さんが教える「バカである」と「バカをやれる」の決定的な違いPhoto:weathermap