Photo by Keiichi Sato
移り変わりの激しいテレビ業界において、半世紀にわたり「お茶の間の顔」であり続ける気象予報士・森田正光さん。活躍を続けられる秘訣を聞くと、ご本人は「運がよかったから」と笑う。しかし、それだけで50年は生き残れない。柔和な笑顔の裏には、どんな哲学があるのか。後輩となる筆者が、核心に迫った。(聞き手/気象キャスター 佐藤圭一)
50年間テレビ出演する森田さんのシンプル哲学
――森田さん、今日は天気の話ではなく、森田さんご自身の話を聞かせてください。まず、50年もの間、お茶の間に愛され続ける秘訣は何ですか?
森田 素直だから、じゃない?(笑)
――もう少しちゃんと教えてくださいよ(笑)。森田さんなりの「戦略」のようなものはあったのでしょうか?
うーん。若い頃に気づいたのは、自分には強力なコネもないし、華々しい学歴もない、ということでした。でも、生きていくためには、ある程度のお金は必要でしょう?
チャップリンの映画『ライムライト』に、こんな有名なセリフがあるんです。「人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しのお金だ」と。当時の僕はまさにこの「少しのお金」を得るために、どうすれば仕事でうまくやっていけるかを考えました。
自分なりに考えて出した答えは、非常にシンプルです。「人に嫌われてはいけない」ということ。そして、人間の本質を自分なりに掘り下げていくと、あることにたどり着きました。それは「人は、馬鹿が好き」ということなんです。
――少しドキッとする言葉ですが、どういう意味でしょうか?
人間というのは本能的に、自分より「優秀な人間」を警戒する生き物なんですよ。なぜなら、自分の生存や立場を脅かされるかもしれないから。
だから、本当に利口な人ほど「馬鹿なふり」をすることが多い。「能ある鷹は爪を隠す」とは、まさにこのことです。
――確かに、隙のない人よりも、どこか抜けている人の方が好かれますよね。







