取り分を守ることばかり考えて、大きな成長を逃していませんか。創業者でさえ株の大半を手放し、従業員にも果実を分けるのはなぜか。小さなパイを独り占めするより、大きなパイをみんなで育てる発想を、あなたの組織は持てていますか。
楽天グループ代表取締役会長兼社長・三木谷浩史氏をはじめ、Google元会長やZoomの創設者も絶賛する世界的ベストセラー『1兆ドル思考 世界一流の成功をもたらす9原則』をもとに解説します。
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大きなパイの小さな分け前
シリコンバレーは立身出世物語にあふれている。
チャールズ・エアーズについて聞いたことがあるだろうか。
シェフだったエアーズは、他の25人のシェフと競い合い、小さなスタートアップで職を得た。
約束された報酬は他社で得られる金額の半分にすぎなかったが、報酬にはストックオプションも含まれていた。
友人と話した後、エアーズはその会社が成長するのは間違いないと確信した。
エアーズはその宝くじをつかみ取り、グーグルの従業員番号53番に名を連ねた。
グーグルのIPO当日、エアーズが手にした「賞金」は2600万ドルにのぼったという。
グラフィティアーティストのデービッド・チョーは、35歳のときにフェイスブックのオフィスの壁に壁画を描くよう依頼され、報酬の支払いは現金がよいか、同社の株式がよいかと尋ねられた。
チョーは報酬をすべて株式で受け取ることを選び、フェイスブックが上場した際に新たに誕生した1000人を超える億万長者の一人になった。
あなたはこれらの話を、従来の組織では再現できないクールな事例として、割り引いて聞いているかもしれない。
だがこれらの事例は、インセンティブを適正化するには、全従業員が参加して利益を得る仕組みを整備する必要があることを示している。従業員の成功事例をつくり出すことが、他の従業員にも成功を目指して懸命に働く意欲をもたらす。
億万長者と言うと、ウォール街の株式トレーダーや、グーグルやツイッターの初期の従業員がまず頭に浮かぶかもしれないが、「他のどの経済主体よりも多くの億万長者を輩出してきたのはマクドナルドだ」とワシントンポスト紙のジョージ・ウィルは言う。
これは、意図的に全関係者の利益を密接に連動させたフランチャイズモデルによるものだ。
最後に、あなたが大成功しているスタートアップの創業者だとしよう。
あなたの会社がIPOという極めて重要なマイルストーンに到達したとき、あなたはどのくらいの株式を手元に残すだろうか。
その平均的な割合を明かすと、多くの人が驚く。
通常、各スタートアップの全共同創業者の手元に残されるのは、株式の15~20%にすぎない。
リフトやボックス、パンドラの創業者は、それぞれ6%、4%、2%しか株式を保有しなかった。
このような取り決めをなぜ受け入れるのだろうか。
VCやVCが支援する企業の創業者たちは、小さなパイの大きな分け前よりも、大きなパイの小さな分け前を好むからだ。
既存企業もそうあるべきだ。
革新的アイデアの創出を促すことを目指すなら、誰もがそうあるべきだろう。
(本記事は『1兆ドル思考 世界一流の成功をもたらす9原則』から一部を抜粋・編集しています)







