JR東日本が開発したダンパーは、営業運転時は通常のダンパーと同様に車体の揺れを抑制しつつ、地震発生時は電磁弁を切り替えて減衰力を高める。幅広い周波数の揺れに対応可能で、脱線確率は最大5割低減するという。2021年登場の高速試験電車「ALFA-X」に搭載して各種試験・性能評価を重ねてきたが、ようやく実用化の目途が立った形だ。

地震対策左右動ダンパのはたらき(鉄道総合技術研究所提供)地震対策左右動ダンパのはたらき(鉄道総合技術研究所提供)

 最大の特徴は現行の左右動ダンパーと通常時の性能面、形状面で互換性があることで、今後の新型車両だけでなく、既存車両も取り換えで対応できる。2027年秋から取り換えを開始し、E5系・E6系・E8系は2031年度、E7系は2032年度までに導入する計画だ。

パンタグラフ監視カメラを導入し
AI画像解析で故障個所を特定

 もうひとつの新技術は、輸送障害対応だ。JR東日本は1月に山手線・京浜東北線、常磐線、2月に宇都宮線で停電事故が発生するなど、電気関係のトラブルが相次いでいる。

 そもそも事故が起こらないようにすべきとの指摘はもっともだが、輸送障害の規模を抑制し、早期の運転再開を実現する取り組みも並行して進めなくてはならない。

 そこでJR東日本は、2026年度から山手線にパンタグラフ監視カメラを導入し、パンタグラフの状態をAIが画像解析することで故障個所を早期に特定。また、設備点検時間を短縮すべく遠隔操作ドローンを導入する。

 現状では、設備故障が発生した場合、技術関係の係員が現地に出向いて故障箇所の特定と状態確認を行っているが、移動と徒歩点検には長時間を要する。2025年5月22日に山手線で発生した架線切断事故では、21時40分に複数の列車でパンタグラフの損傷が確認されたが、新橋駅構内の架線設備損傷を発見したのは深夜0時30分、運転再開は翌朝のことだった。

 架線が垂れ下がる、部品が外れるなどの問題が生じると、通過列車のパンタグラフが損傷することがあり、損傷したままそのまま走行すると他区間の架線まで損傷させてしまう。初動が遅れれば、全線の徒歩点検、全車両の安全確認が必要になり、それぞれの区間への移動時間を含め、点検時間は拡大する。

 トラブルの拡大を防ぐには損傷の早期発見が肝要であり、早期に発見すれば点検区間を絞り込める。しかし、パンタグラフの監視はこれまで車庫への入出庫時に限られていたため、4月に営業列車を監視するカメラを恵比寿、鶯谷に設置する。

 カメラは1列車当たり300~400枚の写真を撮影し、物体検出AIでパンタグラフの画像のみを抽出。これを損傷検知AIが正常な形状と照合し、異常がある場合は指令所に通報、指令員は直ちに列車を抑止する仕組みだ。4月から試行を開始し、8月に新橋と目白に増設予定だ。