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2025年度の経常収支黒字は3年連続で過去最大を更新し、貿易収支も5年ぶりの黒字に転じた。しかし、その改善は原油安や輸入減に支えられた面が大きい。中東情勢の緊迫で原油価格が上昇すれば、26年度の円需給は再び悪化に向かう。統計上の黒字の裏側にある「本当の円買い需要」を検証する。(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔)
過去最大の経常黒字でも
26年度の円安リスクは消えない
5月13日に本邦3月分の国際収支統計が公表された。
2025年度分の数字が出そろったことにより経常収支黒字が34兆5218億円と3年連続で過去最大を更新したこと、とりわけこれを支えている第一次所得収支黒字が42兆2809億円と5年連続で過去最大を更新したこと、さらに年度ベースで見れば貿易収支が1兆3631億円と5年ぶりの黒字に転じたことなどが話題となっている。
もっとも、世界経済を取り巻く環境は3月以降に一変している。25年度の貿易収支が改善したのはアジア向けの半導体電子部品などの輸出が好調だったこともあるが、鉱物性燃料輸入が前年度比減少したことが寄与している。
原油価格の年度平均が1バレル71.41ドルと3.3%も下がったことが寄与しているが、もはや26年度において同水準となることは望み薄である。25年度の数字に安堵(あんど)する意味は全くないだろう。
日本がいつ備蓄放出を止め、高価な原油の輸入をスタートし、それが収支上に表れるかは時間の問題である。遠くない将来に訪れる事態だろう。それを見越しているからこそ、投機的な円売りは旺盛なのである。
なお、本稿執筆時点では3回目の備蓄放出は行われないという方針が報じられている。とすれば、6月の貿易統計(7月発表分)から、今回の価格急騰や円安が反映されてくる可能性がある。為替市場の観点からは非常に大きな注目が集まる数字だ。
次ページでは、原油価格動向なども踏まえて26年度の円の需給を検証してみる。







