簡素化される葬儀
しかし地方には独自の風習も

 地方においては今なお独自の風習が残っている地域も少なくありません。「葬儀は家と家とのつながりを示す儀式である」という価値観は根強く、親族だけでなく近隣住民や自治会が運営を手伝うケースもあります。

 こうした地域で、都市部と同じ感覚で独断的に「家族葬」を強行してしまうと、後になって大きなトラブルに発展することがあります。

■家族葬・直葬で起きやすいトラブルの主な例
1.「なぜ呼ばれなかったのか」という親族・友人からの不満
2.菩提寺(ぼだいじ)への未連絡による戒名・納骨拒否
3.地域コミュニティーとの関係悪化(特に地方・農村部)
4.後日の弔問ラッシュで対応に追われる

「なぜ、声をかけてくれなかったのか」「長年お世話になったのに、最後のお別れもできないのか」といった近隣住民からの反発を防ぐにはどうすればよいでしょうか。

「本人の希望」と「残される人々の感情」
どちらも大切にする葬儀とは

 本人の希望と残された人々の感情を対立させないために、次のような工夫も考えられます。

1.本人の希望を「書面」で残す
2.生前から菩提寺や地域文化を事前に確認する
3.「後日のお別れの場」を設ける
4.決定を「家族だけ」で抱え込まない

 菩提寺がある場合、事前連絡なしに葬儀を済ませると、戒名を授けてもらえず納骨を断られるケースがあります。また、地方では葬儀が地域の行事という慣習が残る地域もあり、形式の選択が近所付き合いに直接影響することも。故人が暮らしていた地域の文化を、生前のうちに把握しておきましょう。

 また、家族葬や直葬を決断する場合、参列を断った方々に対して後日「しのぶ会」や自宅での茶話会を設けることで、別れの機会を補うことも可能です。葬儀の簡素化と、周囲への配慮を両立できる現実的な選択肢と言えるでしょう。

 葬儀の形式を遺族だけで決め、事後に報告するだけでは「なぜ、相談してくれなかったのか」という感情的反発を生みやすくなります。近しい親族に声をかけながら、理想の葬儀を目指すことが大切です。

※プライバシー保護のため、登場人物に関する情報の一部を変更しています。

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