写真:シニア女性写真はイメージです Photo:PIXTA

日本人の死生観は急速に変わっています。かつては親族だけではなく、近所の方々にも手伝ってもらうような「一般葬」が主流でしたが、負担感や核家族化などを背景に「家族葬」が半数以上を占める時代に突入しています。新型コロナウイルス禍をきっかけに家族葬は急激に浸透、現在は定着の気配がありますが、背景には「葬儀は高額で面倒」というイメージが透けて見えます。そこで、本記事では急速に変化する弔いの変化について、子に迷惑を掛けたくない一心で終活に励む多田さん(仮名)の事例をご紹介します。

夫の葬儀で息子が
「衝撃の一言」をポロリ

 神戸の閑静な住宅街に住む多田邦子さん(仮名)は、5年前の65歳の時に夫の大輔さんを亡くしました。現在は一人暮らし、大阪府内に一人息子の健太さん夫婦と孫が暮らしています。

 大輔さんは繊維メーカーで営業職として長年勤務しており、顔も広かったため多くの参列者が集う葬儀でした。健太さんは長男としてテキパキと喪主を務めてくれましたが、火葬後に「葬儀は面倒だな」と親族だけの食事の場でぽつりとつぶやいたのです。

 その素朴な一言が、多田さんの終活スイッチを入れました。

「夫の葬儀の時、親族や会社の同僚だった方、取引先だった方が多く参列してくれて、私はうれしかったんです。でも夫の交流関係を知らない息子にとって、挨拶をして回るのは正直気苦労もあったんでしょう。自分は夫ほど交流は広くないですが、趣味や地域のつどいでつながりがある友人がいます。また同じ苦労をさせたくない。自分が亡くなった後、息子には面倒だなと思われたくないんです」

 多田さんは早速、エンディングノートを購入。いくつかの終活セミナーにも参加し、財産も整理を進めています。

 さらに、健太さんに苦労をかけないために葬儀の希望も残すことを決意。複数の葬儀社に連絡し、自分の葬儀はいくらかかりそうなのか聞くことにしました。家族葬プランで約80万円の見込みだったため、「100万円以下で、家族葬を希望」と健太さんに伝えておくことにしました。