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緑内障は日本人の中途失明要因の第1位の眼病で、40歳以上の20人に1人が罹患していると推測されている。
脳に映像を送る視神経が徐々に劣化し、神経線維の減少とともに視野欠損が生じるものだが、視力低下や眼精疲労といった一般的な症状も出るため、「眼の疲れで眼科を受診したら緑内障だった」というケースも珍しくない。
視神経の劣化には眼圧(眼の内部の圧力)が関係していると考えられており、緑内障の治療には眼圧を下げる点眼薬がよく使われている。近年は眼圧の日内変動でピークとなる「夜間眼圧」を下げる方法も模索されている。
いくつかの研究では、就寝時の姿勢が夜間眼圧のコントロールに影響することが示されているが、中国・浙江大学医学院附属第二病院からは、一般家庭の枕を使った緑内障に優しい就寝姿勢の報告があがっている。
研究者らは144人の緑内障患者を対象に、2時間おきに24時間眼圧を測定。就寝時間として23時30分~翌朝5時30分の間は、仰向け姿勢(仰臥位)と、枕を二つ重ねて頭を20~35度持ち上げた場合(高枕位)とで姿勢を変えながら寝てもらい、やはり2時間おきに眼圧を測定している。
その結果、高枕位の寝姿勢では仰臥位と比較して眼圧が有意に高く、24時間の眼圧の変化幅も有意に増大することが示された。
また、眼内の血の巡りの良し悪しや血流不足を反映する眼灌流圧の有意な改善も認められた。眼内の血流不足は、視神経の虚血と損傷を招くことから緑内障の進行リスクとされており、寝姿勢ひとつが経過に影響しかねないわけだ。
ちなみに頸静脈と眼圧との関連では、ネクタイをキツく締めすぎると数分で眼圧が上がるという報告もあり、長時間、首に負担をかけるような寝姿勢は望ましくない。
研究者は「枕を高くした姿勢は、首の頸静脈を圧迫して眼圧を上げる可能性があり、長期的な眼圧管理に悪影響がある」と指摘し、緑内障患者に対し薬物治療に加えて寝姿勢の改善を勧めている。
緑内障と診断されたら安心して仰向け寝ができるよう、首に負担がかからない枕を新調するといいだろう。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)







