現代人が酷使しがちな、眼。医師によれば「日本人は特に、眼を大事にする意識が低いため、その意識をもつことが大切」だといいます。今回は、その怖さがあまり知られていない緑内障について解説します。
本記事は、2024年2月下旬発売の『手術数でわかるいい病院 2024』で取材した医師の協力のもと作成し、お届けします。
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中高年に起こりやすい代表的な病気の一つ
緑内障は、40歳以上の20人に1人、70歳以上では10人に1人が罹患する眼の病気です。現在、緑内障は中途失明原因の第1位で、2022年は失明原因の28%を占めていましたが、23年は41%に上昇。アジア全体で増えていて、日本の推定患者数は465万人といわれています。
緑内障とは、視神経に障害が起こり、見える範囲が狭くなる病気です。少しずつ見える範囲が狭くなっていくのが主な症状ですが、進行が非常に遅いことが特徴です。特殊なタイプですが急性緑内障発作という場合もあり、症状として、急に眼圧が3倍にも上昇し、目の痛みや頭痛、吐き気、嘔吐、白い霧がかった視界などの症状が表れます。通常遠視の人が夜に発症する特徴があります。
東北大学病院の眼科科長・教授の中澤徹医師はこう話します。
「悪化するまで自覚症状がないため、気づきにくい病気です。緑内障を発症している人のうち、約7割が気づいていないというデータもあります。近視が危険因子です。近視は小中学生で神経が変形し、老眼になる40歳ごろから緑内障が始まります。症状が出るのは60歳ぐらいで、病気になっているのに自覚がない空白期間が20年もあります。緑内障でいったん視野が悪くなると、もう元には戻せません。早く病院を受診すると、進行を食い止めることができますので、近視の人や緑内障の家族がいる人は、40歳になったら必ず眼底検査を受けるべきだと思います」
3年に一度は「眼底検査」を受けよう
なぜ気づけないのでしょうか。中澤医師は、その理由は三つあると話します。