学校の授業で学ぶ歴史には、偉人たちの輝かしい功績や「すごい」エピソードが数多く登場します。しかし、どんな人物にもそれだけでは語れない一面があります。歴史をひもとくと、「すごい」人の中にも、思わず目を疑うような「やばい」行動や選択が、数多く記録されているのです。
そんな「すごい」と「やばい」の両面から、日本史の人物のリアルな姿に迫るのが『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』。今回取り上げるのは、画期的な日記文学『蜻蛉(かげろう)日記』を書いた藤原道綱母です。
Photo: Adobe Stock
衝撃的な書き出し
『蜻蛉日記』は女性が書いた日本初の日記文学です。
作者である藤原道綱母が夫・藤原兼家との結婚生活を書いた『蜻蛉日記』は、「ハイパーセレブと結婚した女の末路、暴露します!」という意味の、ぶっ飛んだ前書きから始まります。
平安時代は夫が複数の妻の家に通う一夫多妻が多かったのですが、女性側がそれを当たり前に受け入れていたかというと……全然そんなことはありませんでした。
道綱母は嫉妬でブチギレており、
「なげきつつ ひとり寝る夜の 明くるまは いかに久しきものとかはしる」
(なげきながらひとりぼっちで寝る夜が明けるまでの時間がどんなに長いか、あなたは知らないでしょうね)
という和歌を詠みます。
さらに「夫が別の妻に生ませた赤ちゃんが亡くなった」という話を聞けば「ああ、スカッとする! 身分が低いくせに調子に乗ってたあの女が、いまはわたしより苦しんでいるかと思うと!」と赤裸々に負のオーラを全開にしています。
イラスト:和田ラヂヲ(『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』より)
女性の立場から初めて不幸な結婚の悲しみをありのまま描いた『蜻蛉日記』は、貴族たちに衝撃を与え、紫式部や清少納言など多くの女性たちが物語や随筆を書くきっかけを作ったのです。
(本原稿は『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』からの抜粋です)









