学校の授業で学ぶ歴史には、偉人たちの輝かしい功績や「すごい」エピソードが数多く登場します。しかし、どんな人物にもそれだけでは語れない一面があります。歴史をひもとくと、「すごい」人の中にも、思わず目を疑うような「やばい」行動や選択が、数多く記録されているのです。
そんな「すごい」と「やばい」の両面から、日本史の人物のリアルな姿に迫るのが『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』。今回取り上げるのは、朝廷との戦いを前に鎌倉武士たちを鼓舞し、幕府最大の危機を救った北条政子です。

【歴史好きなら納得】日本史上「最も歴史を動かした演説」ベスト1Photo: Adobe Stock

朝廷に勝って真の武士の時代をつくった尼将軍

 鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の妻の北条政子は、頼朝の死後、出家して尼になりました。

 しかし頼朝のあと継ぎである息子たちが次々と死に、それをきっかけに後鳥羽上皇が幕府を潰しにくることがわかると、政子は「尼将軍」として立ち上がります!

 武士が力をつけてきた時代とはいえ、上皇……つまり朝廷を敵に回して戦うことは大罪。ビビって動けないでいる鎌倉武士たちを前に、政子は自ら演説を行いました

「みんな心をひとつにして聞きなさい。あなたたちの身分と領地を保証してくれた頼朝様のご恩は、山よりも高く海よりも深い。いまこそそのご恩に報いるときです。日和ってんじゃねえよ! 上皇に味方したい武士いる? いねえよなあ!」

 と、頼朝の遺志を胸に戦うことの正義を説いたのです。

【歴史好きなら納得】日本史上「最も歴史を動かした演説」ベスト1イラスト:和田ラヂヲ(『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』より)

 政子のアツい言葉はヤンキー魂をもつ鎌倉武士たちの心に火をつけました。その結果、幕府は見事に朝廷に勝利し、上皇は流罪となり領地も幕府に没収されました

 この勝利で幕府の地位は大きく高まり、本格的な「武士の時代」が始まりました。その後も政子は政治の実権をにぎり、弟の北条義時とともに幕府を導いたのです。

(本原稿は『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』からの抜粋です)