八木道子さんは長崎の原爆を生き延びた八木道子さんは長崎の原爆を生き延びた

【長崎(日本)】八木道子さん(87)は教師として子どもたちに、日本は二度と戦争をしないと世界に固く約束した、と教えてきた。

 八木さんは、6歳の時に故郷の長崎を壊滅させた原爆から生き延びることができた。1945年の広島と長崎への原爆投下は、旧日本軍によるアジア全域での残虐な進軍に終止符を打ち、国を破滅へと導いた軍国主義への反対姿勢が日本で数世代にわたって続く契機となった。

 八木さんは、国際紛争の解決に武力を行使せず、軍隊を保持しないという、日本の平和主義的な戦後憲法に明記された理念に、誇りと安心感を抱いていたと話す。

「日本は、今から軍隊は持たない」として新しい憲法を学校で学んだと八木さんは話した。「核兵器の廃絶と世界恒久平和という長崎市民・長崎市の使命、そういう道義的な理念をもって追求していく」ことが基本的な姿勢だと語った。

 現在、より危険で予測不可能な世界に直面する中、日本が数十年にわたり掲げてきた平和主義が揺らぎつつある。

 日本では、中国の軍事力拡大への警戒感や、米国がアジアの同盟国を本当に守ってくれるのかという懸念から、自国を守り周辺地域での攻撃や挑発行為を抑止するために防衛費を増やすべきだとの声が増えている。

 2月の衆議院選挙で圧勝した高市早苗首相は、この転換の最前線にいる。 長年にわたり安全保障タカ派 である高市氏には、新たな兵器と運用能力で自衛隊を強化する大きな計画がある。

 高市氏は、武器輸出に関する厳しい制限によって防衛産業の成長が阻害されているとみており、その足かせを外したい考えだ。同氏はまた、日本独自の秘密情報機関の創設を目指しており、「戦後最も厳しい安全保障環境」と当局者が表現する状況に対応すべく、国家安全保障戦略の抜本的な見直しを計画している。

 高市氏は、戦後憲法そのものの改正さえも構想している。これは与党・自由民主党の長年の目標であり、歴代党首の誰もなし得なかったことだ。憲法を改正すれば、ドナルド・トランプ米大統領がイランにおいて同盟国に求めたように、将来の日本政府が自衛隊や艦船を海外に派遣することが容易になる可能性がある。日本はこれまで、戦闘地域への派遣に伴う法的な制約を理由にこうした要求を退けてきた。

「もう時代が変わったと感じている」。高市氏は最近の国会答弁で、野党議員が50年前の演説を引き合いに出し、同氏の防衛戦略の重要な要素である武器輸出拡大に異議を唱えた際にこう述べた。「今は、日本を取り巻く情勢が非常に厳しいものになっている」

 米国にとって高市氏の計画は、同盟国に自国防衛の負担をより多く担わせるという米国の狙いと完全に一致している。