どんな職場にも、メンバーを消耗させる“大小の問題”が存在しているものです。その問題に対して対症療法的に対応することに終始するリーダーと、問題を根本的に解決に導くリーダーで、チームのパワーには大きな差が生まれます。では、「根本解決」できるリーダーは、何を考え、どのように問題にアプローチしているのでしょうか? この記事では、新刊『なぜ、あなたのチームは疲れているのか?』(櫻本真理・著)から抜粋しながら、「根本解決」するための4つのステップついて解説します。
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「対症療法」だけでは、同じ問題が繰り返し起きる
チーム全体の心理的リソースが消耗していることがわかったとき、気をつけなければならないことがあります(心理的リソースとは、価値を生み出すために「めんどくさいけど、やるか!」と奮起する心のエネルギーのこと)。
それは「表面的な解決策で満足してはいけない」ということです。なぜならば、表面的に解決したとしても、根本的な原因が放置されたままであれば、同じ問題が繰り返し起きることが多いからです。
たとえば、カスタマーサポート部門で、新人が、クレームにうまく対処することができずに消耗していたとします。これに対して、上司が「代わりにやってあげるよ」と言えば、その場の問題は解決するでしょう。
しかし、これは「対症療法」に過ぎません。その新人が、別のクレームを解決しなければいけなくなったときには、やはりうまく対応することができず、再び消耗することになるのは火を見るよりも明らかです。
そこで、繰り返し生じる問題に対しては、「この問題が起こる背景要因は何だろう?と考えて、それを取り除く「根本対処」をする必要があります。」このように、「緊急対処」と「根本対処」を分けて、チームの消耗に対処するプロセスを示したのが【下図】です。

一つずつみていきましょう。
【ステップ1】 気づく
まずは、チームに消耗が存在するということに「気づく」必要があります。
職場全体の様子やメンバー一人ひとりの様子を観察したり、メンバーとの1on1やチームでの対話を重ねたりするなかで、チーム全体として心理的リソースが何に使われているかを把握するように努めます。そして、何度も繰り返し消耗している問題がないか、常にアンテナを立てておくのです。
【ステップ2】 緊急対処する
「対処する必要がある」と判断したら、まずは「緊急対処」を行います。
先ほどの事例のように、クレーム対応ができない新人の代わりに、リーダーが処理してあげることが「緊急対処」に当たります。
もちろん、チームのなかで必要な「緊急対処」のすべてを、リーダーが担う必要はありません。そんなことをしていたら、リーダーの心理的リソースが枯渇してしまいますから、「「緊急対処」が必要になったときに誰が対応するかを、あらかじめ話し合っておくといいでしょう。」
たとえば、あらかじめ新人には先輩をメンターとしてつけておき、「緊急対処」が必要になったら、そのメンターが初期対応をするといったことを決めておくといいかもしれません。
消耗を生み出す「構造要因」を掘り当てる
【ステップ3】 深める
次に、「深める」ステップです。
「深める」とは、「緊急対処」が必要となった問題の「背景要因」を探るということです。このときに重要なのは、問題の背景要因を「個人要因・関係性要因・構造要因」の3つに分けて捉えることです。順に説明しましょう。
まずは「個人要因」です。
なぜ、その人が心理的リソースを消耗しているのか、その「個人要因」を探るということです。そのためには、問題を引き起こした個人の「フィルター」と「アセット」を確認します。
先ほどのクレーム処理ができなかった新人であれば、「失敗すると自分の価値が下がる」といったフィルターをもっているために、怒りをぶつけてくるお客様と向き合うことができなかったのかもしれません。あるいは、お客様と対話するコミュニケーション・スキルや、対象となっている商品に対する知識などのアセットが不足しているのかもしれません。
であれば、そのフィルターを修正したり、アセットを補強するために、具体的なアプローチをしていくことによって、「根本対処」をしていく必要があるでしょう。



