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食べることも大事な仕事とされる力士は、味に対するこだわりはもちろん、食事の作法にも厳しい。実際、箸の持ち方や料理の取り方ひとつで、叱責(しっせき)されることも多々あるという。名横綱たちの食にまつわる意外なこだわりに迫った。※本稿は、朝日新聞社記者の抜井規泰『白鵬はなぜ嫌われなければならなかったのか だれも知らない角界不思議話』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
相撲部屋で出る料理は
すべてがおいしい
ちゃんこ――。
相撲好きでなくても、この言葉を聞いたことがあるだろう。ところが、多くの方は、こんな勘違いをしている。朝日新聞の同僚記者もほぼ全員そうだったのだが、「ちゃんこ=鍋」だと思っている。
「ちゃんこ」は、力士の食事のことで、お相撲さんが食べれば、カレーだろうがハンバーガーだろうが、それがちゃんこだ。
力士がよく食べる鍋料理も、ちゃんこの1つに過ぎないのだが、ちゃんこと言えば鍋、というイメージが定着してしまっている。
そもそも、なぜ「ちゃんこ」と呼ぶのか。
諸説あるのだが、先代佐渡ケ嶽親方(元横綱琴櫻)が教えてくれたのは「親方と弟子が一緒に食べるからだよ」。往年の時代劇「子連れ狼」をご存じだろうか。乳母車に乗った幼子の大五郎は、父を「ちゃん」と呼ぶ。ちゃん(父)と子で、ちゃんこだ。
この相撲部屋のちゃんこ鍋。お世辞抜きで、とにかくうまい。私が初めて食べたのは、由来を聞いた佐渡ケ嶽部屋だった。大鍋で煮込まれ、肉や野菜の具材から大量のダシが出る。それをしっかり吸った油揚げ。しなしなになったキャベツと一緒に鶏肉をかみしめると、ダシと肉汁がじゅわーっ、と口に広がる……。







