相鉄グループ、パナソニック、中川政七商店、黒木本店、尾鈴山蒸留所、久原本家 茅乃舎、そしてくまモン……様々な案件で大ヒットを生み出してきたクリエイティブディレクター・水野学氏。さぞや忙しいのでは、と思われがちだが、実は毎日8時間睡眠のゆったりした生活を送っているという。
それは独自の時間の使い方があるからだ。いったいどうしたら、焦らず、慌てず、余裕のある生活ができるのか? 水野学氏の著書『逆算時間術』(ダイヤモンド社)から探ってみたい。
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ありたい自分から逆算して考えてみる
多くの方は、「どうすれば時間を効率よく使えるか」を知りたいと思っているのではないでしょうか。でも僕がお伝えしたいのは、少し違うお話です。
効率化の前に、ぜひ考えてみてほしいことがあります。それは、「何のために時間を使うのか」ということです。
人生とは、すなわち時間の積み重ね。となれば、どんな時間を過ごすか、こそが人生ということになります。逆にいえば、こんな人生にしたいから、こんな時間を過ごしたい、と考える必要があるのではないでしょうか。
もちろん目の前の時間をいかに効率的に使うか、ということはとても大事です。今日の仕事、明日の締め切りをどう乗り越えるかという、差し迫った問題が目の前にそびえ立っているのですから。
しかし、その先に何が待っているのかが定まっていないとすれば、ただ一時的に時間が効率化されただけで、根本的な問題は何も変わっていかない、ということになってしまいます。
さまざまなテクノロジーによって、時間はどんどん短縮できるようになりました。最近ふと気づいたのは、いわゆる文明の進化は、すべて「時間の短縮」で説明がつくのではないか、ということです。
機械が高度化して便利になり、かかる時間が短縮された。デジタル化され、あっという間にアクションが実行できるようになった。スピードがアップしたり、距離が縮まったり、というのも結局、時間の短縮です。今、猛烈に進んでいるAIも、中核にあるのは「いかに人類がラクをするか」=時間を使わずに済むようにするか、ということでしょう。
ところが、文明が進化して時間が生み出されているはずなのに、相変わらず多くの人は時間に追われているのではないでしょうか。それは、空いた時間ができたところに、違うものが入ってきているからです。
僕の仕事のスタイルは「ありたいゴールを決めて、そこから逆算して仕事を積み重ねていく」というものです。そうすることで、多くの時間をロスすることなく、最短でありたいゴールに向かっていけるからです。
逆にもし、ありたいゴールが決まらないまま仕事を見切り発車してしまうとどうなるか。向かおうとしているところがぼんやりしているわけですから、模索しながらあちこち走ることになります。
あれをやってみたり、これをやってみたり、あっちに手を出したり、こっちに手を出したり。これでは、大きな時間のロスが生まれてしまうことはご想像いただけると思います。
これを人生に置き換えてみてほしいのです。「ありたい人生」や「ありたい自分」がないままに、毎日を過ごすとはどういうことか。もしかすると「ありたい人生」や「ありたい自分」ではない方向に向かっている可能性だってあるわけです。
そんな中で、どんなに時間を効率化しても、便利なテクノロジーを徹底活用しても、本当にたどり着きたい場所にはたどり着けません。
まずは、どんな人生にしたいか、どんな自分でいたいかを考えてみてはどうでしょうか。そこから逆算して、今の過ごし方を考えてみる。ゴールがあるから、近づくことができるのです。
もし、「そんな長期のことなんて考えられない」というのなら、それはそれでいい。ならば、「いったんのゴール」でいいと思うのです。こんな自分がいいな、というゴールを定めてみること。そこから逆算して、今どうしたらいいかを考えるのです。
実は、ゴールがあるとそこに向かえるというだけではありません。毎日が、頑張れるようになるのです。
※本稿は、『逆算時間術』水野学(ダイヤモンド社)から一部を抜粋・編集して掲載したものです。







