高い成果を目指し、目標を増やせば増やすほど、部下は何も達成できなくなる――そんな逆効果に心当たりはありませんか。売上も利益も継続率もと求めれば、現場は迷い、結局どれも伸びません。どうすれば、部下が目標を達成できるようになるのでしょうか?
SNSでビジネススキルについて情報発信を行い、総フォロワー数が37万人を超え、『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』の著者である「にっしー社長」こと西原亮氏に教えてもらった、誰でも「しごでき」になれる令和リーダーの基本を本記事で紹介します。

達成すべき目標は1つに絞る
部下がせっかく目標の売上を達成して報告に来たのに、ついこんな言葉をかけてしまったことはないでしょうか?
「売上は達成したけど、粗利が低いよな。もっと利益率の高い商品を売らないと」
「契約件数は達成したけど、これだと継続率が下がっちゃうよ。もっと定着しやすいような営業トークをしなきゃ」
売上も欲しい、利益も欲しい、継続率も欲しい、ついでに顧客満足度も……。
上司の頭の中には、チームを良くするための「理想の完成形」があるはずです。
だからこそ、部下にもそのすべてを求めたくなる気持ちは痛いほどわかります。
しかし、「あれもこれも」と求めた瞬間、部下は思考停止に陥ります。
かつて、私自身もこの失敗を犯しました。
コンサルタント出身で数字に強かった私は、自社の経営において、あらゆる要素を管理しようとしました。
売上、粗利、客単価、解約率、稼働率、労働分配率……。
その数、なんと「32個」。
私はこの32個の指標すべてをモニタリングし、社員に「全部達成しろ」と求めたのです。
しかしその結果、部下の誰もが数字を見なくなりました。
32個も目標があると、どれが今一番重要なのかがわからなくなります。
「今月は売上を追えばいいのか? でも経費も下げるんだったよな?」と迷いが生じ、結果として力が分散し、どの指標も中途半端な結果に終わったのです。
現場は疲弊し、「社長は理想ばかり語る」と心が離れていきました。
上司の仕事は足し算ではありません。「引き算」です。
だからこそ「今、チームにとって(あるいはその部下にとって)、命運を分けるたった1つの指標は何か?」を決めきることが、上司の責任なのです。
現在、私の会社では指標を極限まで削ぎ落とし、基本的には「3つ」、時期によっては「たった1つ」に絞るようにしています。
例えば、「今期はとにかくクライアント数だ。利益率はいったん目をつぶっていい。とにかく顧客を増やしてシェアを取ることに全集中してくれ」と明示します。
すると、部下の迷いは消えます。
「利益は後回しでいい、とにかく件数だ!」とアクセルを踏み込めるようになり、結果として圧倒的なスピードで目標を達成します。
そして、「自分たちは目標を達成できた」という自信がつきます。
部下育成のコツは、1段ずつ、階段を上らせることです。最初から「売上も利益も継続率も」と3段飛ばしで上らせようとすれば、必ず転げ落ちます。
・まずは「売上(件数)」という単一指標だけを追わせ、達成させる。
・達成が続いたら「次は粗利の高い商品の比率を前月より1%上げる」と指標を足す。
・それができて初めて「顧客の継続率を見て継続率改善のアクションをする」ことを求める。
このように、「単一の目標」をクリアさせてから、次の景色を見せる。
この順序を守ることが上司には必要です。
「今月はこれだけでいい」と言い切る一点突破の力こそ、部下を成長させます。
(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』から一部を抜粋・編集し作成しました)














