相鉄グループ、パナソニック、中川政七商店、黒木本店、尾鈴山蒸留所、久原本家 茅乃舎、そしてくまモン……様々な案件で大ヒットを生み出してきたクリエイティブディレクター・水野学氏。さぞや忙しいのでは、と思われがちだが、実は毎日8時間睡眠のゆったりした生活を送っているという。
それは独自の時間の使い方があるからだ。いったいどうしたら、焦らず、慌てず、余裕のある生活ができるのか? 水野学氏の著書『逆算時間術』(ダイヤモンド社)から探ってみたい。

できる人が実践している、パフォーマンスを最大化するために必要な習慣とは?Photo: Adobe Stock

目指したいのは、脳が最高の状態になること

 僕には、できる限り避けたいことがあります。「ワーッと」なることです。慌てて、焦って、自分をちょっと見失うような感覚。あれが本当に嫌なのです。

 新人の頃、カッターで紙を切ろうとして、焦るあまり自分の手を切ったことがありました。若手デザイナーあるあるだったりもするのですが、あのとき思いました。焦ったところで、紙を切るスピードなんて1秒も変わらないのに、と。「ワーッと」なると、パフォーマンスが落ちるだけでなく、余計なことまで起きてしまいます。

 だから僕は、自分が落ち着いて、一番よく動ける状態でいられる条件を、割と真剣に考えてきました。

 例えば、睡眠。ベストな睡眠時間は人それぞれだと思いますが、いろいろ試した結果、僕には8時間必要だとわかりました。これより少ないと、どうも調子が出ない。頭の回転が鈍くなる感じがするし、判断が雑になる気がします。

 週末にパジャマでのんびりする日をつくるのも、同じ理由からです。怠けているようですが、いや実際、怠け者だなあと自分にびっくりしたりもするくらいなのですが(笑)、僕には必要な整備時間です。

 僕にとってクライアントを招いての仕事の打ち合わせは、まさにクリエイティブの仕事そのものです。

 そこで、ほとんどのことを決めてしまう。アイデアも出すし、方向性も決める。そのためには、打ち合わせのときに、自分が一番よく動ける状態でいる必要があります。だから打ち合わせを連続して入れることは避けています。間に休憩を挟まないと、脳が最高の状態で臨めないからです。

 そんなことをしなくても平気、という体力の持ち主もおられると思います。睡眠時間が短くて大丈夫。連続してミーティングをしても大丈夫。週末も予定ぎっしりでも大丈夫。本当に羨ましい。

 でも、僕はそうではないのです。だから、自分がいい状態でいられるための時間は、しっかり使います。

 同じ時間があっても、「ワーッと」なってしまうと、できることが減ってしまう。だから、そうならないための時間を惜しまない。一見、遠回りに見えるかもしれませんが、「時間がない」という状況を生まないための近道だと思っています。

※本稿は、『逆算時間術』水野学(ダイヤモンド社)から一部を抜粋・編集して掲載したものです。