日本人はこれほど高齢者が増えても、年をとったら当たり前に受け入れたほうがいいことを、恥ずかしいことだと思ってしまう傾向が強いようです。

 しかし、尿漏れパッドやおむつへの抵抗を捨てて使ってみるだけで、買い物をしたり、友人との食事や趣味の集い、観劇などに出かけたりするときの心配がなくなります。そうなれば、大きなプラスの効果を呼び込めます。

 反対の視点からいえば、高齢者にとってなにより怖いのは、外に出なくなることです。おむつに抵抗して外出を控えれば、そのほうがよほど被害は大きくなります。そのことはコロナ禍で高齢者が被った被害を考えれば、わかると思います。

人との会話が減ると
積もり積もって認知症につながる

 年々からだの自由がきかなくなるのを悲観しても仕方ありません。それより、高齢者が快適に暮らすためのさまざまな器具を積極的に利用し、アクティブにすごしたほうが、よほど元気でいられます。

 たとえば、おむつのほかに補聴器も、高齢者のQOLを確実に高めてくれる器具です。

 おむつと補聴器に共通しているのは、両方とも抵抗がある高齢者が多いことです。しかし、抵抗を捨てると得られるものが多いという点でも共通しています。

 じつは、認知症のリスク因子のなかで影響力が大きいといわれるのが難聴です。2020年に行われたアルツハイマー病協会国際会議では、難聴は「予防可能な12のリスク因子のなかで最大」と指摘されました。さらに、この会議のランセット国際委員会では、「もし世界から難聴がなくなれば、認知症患者を8%減らせる」と報告されました。

 日本の研究でも、軽度難聴、中等度難聴、重度難聴の人が認知症になるリスクは、標準的な聴覚の人にくらべ、それぞれ2倍、3倍、5倍に高まると報告されています。

 つまり、耳が聞こえにくくなると人との会話が減り、積もり積もって認知症につながるということです。そうならないために私たちを助けてくれるのが補聴器で、認知症予防のために欠かせない器具だといえます。