自分らしくやってきたから……

例えば私自身、本を書いたりマスコミに出演したりといろいろな活動をしていますが、これは割と「自分がやりたいこと」をやり続けてきた結果です。私たちの業界にも、たくさんの患者さんを診たり、クリニックを大きくしたり、研究をしてアカデミックに成功を収めたり、医局で教授に上り詰めたりと、いろんなやり方があります。

そう考えると、「自分はそういうところとは全然違うところに来たな」とふと思うこともあります。でも、それで不満かと言われれば、自分らしくやってきたから「幸せだ」と思えるのです。

誠実に生きていれば、それでいい

自分自身の状況とは関係なく、「本当はこうあるべきだ」「今のままじゃダメだ」とずっと思い込んでいる人がいます。しかし、自分なりに自分の人生を歩んでいれば、その土俵に他人は入ってこられません。「他人と比較するのはナンセンスですよ」と伝え続けると、患者さんの考え方もだんだん変わってきて、最初とは違うことを言ってくれるようになります。

仕事で業績を上げている人と、家庭や仕事などそれぞれの悩みを抱えながら一生懸命頑張っている人は、本来比較できるものではありません。みんなそれぞれ、オリジナルの人生しかないのです。その中で「成長って何ですか」と問われれば、「誠実に生きていれば、それでいいんじゃないですか」と思います。

成長を諦めると本当にやりたいことが見えてくる

もしあなたが「成長しなきゃ」と思い続けているのなら、一度諦めてみてください。諦めてみることで、本当は諦めたわけではないということがわかるようになります。逆に視野が広がり、「普通はこれが成長なんだろう」と思い込んでいた狭い視野を手放すことで、本当にやりたいことが見えてくるはずです。

やりたいことをやり始め、それがうまくいくと、以前気にしていた「成長かどうか」といったことは割とどうでもよくなります。結果的に、人生が良くなったと感じるはずです。だからこそ、「成長を諦めると、人生は好転する」というお話になります。「成長しなきゃ」という思いにとらわれて苦しい人は、一度その思いを手放してみてください。

その後に違うものが手に入り、「あの時思っていた『成長』を諦めたことで、かえって物事がうまくいくんだ」という成功体験が積み重なると、少し幸せに近づけると思います。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。