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「諦めるな」「最後までやり抜け」と言われることは多い。しかし、届きそうにない目標に固執し続けることが、かえって心を折り、前へ進む力を奪ってしまうこともある。本当にやり抜く人は、目標そのものではなく、目標との向き合い方を柔軟に変えているのだ。心理学が教える、「心を折らずに前へ進み続けるための目標調整術」とは。※本稿は、心理学者の外山美樹『「がんばれない」心で何が起きているか』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
高い壁に跳ね返されたら
登る場所を変えればいい
目標と手段の関係について、比喩を使って考えてみましょう。
あなたが高い壁(人生のモットー)を越えようとして、はしごを登っているとします。もし、そのはしごが途中で折れそうになったり、かける場所を完全に間違えていることに気づいたりしたら、あなたならどうしますか?
そのまま必死に登り続けるのは、「勇敢」でしょうか。それとも「無謀」でしょうか。
本当の意味で「やり抜く力」がある人は、一度はしごを降り、新しいはしごを準備したり、別の場所にかけ直したりする勇気を持っています。登るべき壁(価値観)は変えずに、そこへ至るルートを柔軟に変える力。これこそが、成熟したグリットのあり方です。
心理学の研究でも、1つの目標にしがみつき続ける人は、「うつ傾向」が高まりやすいという結果が出ています。一方、状況に合わせて目標を調整し、意味を見出し直せる人ほど、心の健康と前向きさを保っていました。
つまり、グリットとは「心が折れず目標に向き合えるように、自分を組み替えられるしなやかさ」のことなのです。
間違ったはしごを降りることは、決して負けではありません。それは、あなたが本当に大切にしたい場所へ向かうために、より良いルートを選び直す、知的で勇気ある「攻めの決断」なのです。







