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不登校の子どもたちの新たな居場所として、「メタバース教室」が広がりつつある。自宅にいながらアバターで参加できる手軽さから、「直接会うより気楽」という声も聞こえるほど、その可能性に期待が集まっている。一方で、顔や声といった非言語的な情報が限られる仮想空間で、子どもたちの「感情」はどのようにやりとりされているのだろうか。※本稿は、心理学者の渡辺弥生『怒っている子どもはほんとうは悲しい 「感情リテラシー」をはぐくむ』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。
文字のない時代は生きるうえで
感情リテラシーが必要不可欠
かつて、人と人が何かを伝え合うためには、「直接、会って話す」ことが必要でした。
対面でのやりとりには、言葉だけでなく、表情、声の調子、身ぶり手ぶりといった、感情を読み取るための多くの情報が含まれていました。人はこうしたやりとりを通して、他者の気持ちを察し、自分の感情を調整しながら関係を築いてきたのだと思います。
人類の歴史を振り返ると、言語が誕生したのは約10万年前といわれています。最初は、話し言葉とジェスチャーが中心でした。まだ文字がなかった時代、人々は表情や声の抑揚から相手の感情を読み取るしかありませんでした。
まさに、「非言語的な感情の読み取り=感情リテラシー」が、生きるうえで必要不可欠だったのです。
その後、文字の誕生(約5000年前)、そして紙の発明、手紙のやりとりなどにより、人々は遠く離れた相手と、感情や考えを共有できるようになります。
とはいえ、手紙は時間もかかり、伝えられるのはあくまで言葉だけ。表情や声色がないぶん、受け取る側が想像力を働かせて読み取る必要がありました。
19世紀になると、電信や電話が登場し、情報のスピードが格段に上がります。電話では再び「声」が戻り、声のトーンや間の取り方から、感情が伝わるようになりました。







