20世紀にはラジオやテレビが広まり、音と映像によって感情を共有する「マスメディア」の時代がやってきます。

 そして20世紀後半から現在にかけて、インターネットとスマートフォンが登場し、私たちのコミュニケーションはさらに大きく変化しました。

相手の感情にじっくり向き合う
機会を失いつつある現代

 SNS、メッセージングアプリ、動画投稿サイトなど、誰もがいつでも、どこでも、誰とでも、言葉や画像、動画を使ってやり取りができる時代になりました。

 けれども、このような便利さと引き換えに、私たちは、「相手の感情にじっくり向き合う」時間や機会を、以前より失っているのかもしれません。

 テキストだけのやりとりでは、顔の表情や声のニュアンスは伝わりません。絵文字やスタンプが感情の代わりをしてくれることもありますが、ときにすれ違いや誤解を生むこともあります。送る側と受け取る側の感情のズレに、気づけないまま傷つく人もいます。

「既読」がつかないとか、「既読スルー」だとかで落ち込んでしまいます。かつてなら、電話をかけて、「あれ、読んでくれたかなぁ?」と、会わずともせめて、生の声を聞いたような気がします。

 こうした時代だからこそ、「感情リテラシー」=気持ちを読み、気持ちを伝え、気持ちを調整する力がますます重要になっているのではないでしょうか。

 たとえ顔が見えなくても、相手がどんな気持ちでいるのかを想像する力。

 たとえ短いメッセージでも、自分の気持ちを丁寧に表現しようとする心。

 それらは、直接対面しなくても、心と心のつながりを保つための、大切な「読み取る力」であり「届ける力」なのです。

 テクノロジーの進化は止まりません。だからこそ、子どもたちには、この便利な時代の中でこそ、「感情に耳をすます力」「感情に責任を持つ力」を育てていくことが必要なのだと思います。

AIの登場によって
より重要になる感情リテラシー

 おそらく、これからのコミュニケーションは、ますます変化していくでしょう。

 人工知能(AI)や拡張現実(AR)の活用が進み、人間なのかどうかも判別がつかない存在と、まるで自然な会話を交わすことができるようになるかもしれません。