テレビやゲームをやめさせるだけでは、子どもの学習時間はほとんど増えないという分析結果が明らかになった。大事なのは、親や祖父母など周りの年長者が学習に積極的に関わり、サポートすること。伴走者がいることで、子どもの学習意欲はグンと増すのだ。※本稿は、シリーズ36万部を突破した中室牧子氏のベストセラー『「学力」の経済学』(ディスカヴァー携書)の一部を抜粋・編集したものです。
テレビやゲームをやめさせても
学習時間はほとんど増えない
私たちの分析(※)によると、テレビやゲームが子どもの肥満や問題行動、学習時間に与える影響は小さいことがわかりました。
ただし、たしかにテレビやゲームと、子どもの学習時間の間には負の因果関係があることが示されています。この意味では、テレビやゲームをやめさせれば、子どもの学習時間は増えるというのは間違いではないのです。しかし、問題はその大きさです。残念ながら、1時間テレビやゲームをやめさせたとしても、男子については最大1.86分、女子については最大2.70分、学習時間が増加するにすぎないことが明らかになりました。
テレビやゲームの時間を制限しても、子どもは自動的に机に向かって勉強するようにはなりません。子どもが勉強に取り組む姿勢が変わらないのに、テレビやゲームの時間を制限したら、たぶんそれに類似する他のこと――スマホでチャットをする、あるいはインターネットで動画を観るなど――に時間を費やすだけです。
*この研究で用いられた因果関係を明らかにする実験以外の方法は「操作変数法」という。