わが子が伸びる中高一貫校&塾 2026年入試直前版#23写真提供:栄光ゼミナール

2025年秋、大手中学受験塾の栄光ゼミナールが日本初となる年長児のための「中学受験」を目的としたコースを新設した。中学受験の過熱と塾通いの低年齢化が指摘される中、年長児~小学6年生という7年間に及ぶ塾通いが本当に必要なのか。特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾 2026年入試直前版』の#23では、栄光ゼミナールの低学年指導プロジェクトリーダーである徳橋宏哉氏に疑問をぶつけた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

「今通っている塾より高レベルなことを」
未就学児から中学受験に挑む動機とは?

――2025年9月、もともと小学1年生を対象にしていた「ジュニアコース」に、新たに未就学児(年長児)のための「年長ジュニアコース」を新設しました。なぜ未就学児に小学校受験ではなく「中学受験」と銘打ったコースを設けたのでしょうか。

 背景から説明すると、近年、中学受験の裾野が広がっていることに加えて、外部環境が変わってきたなという実感があります。かつては未就学児の塾通いといえば、小学校受験の一択でしたが、ネット、特にスマホの普及によって、教育への意識が高い家庭が積極的に情報収集するようになり、早い段階から中学受験を検討し始めるようになりました。

 もちろん、実際には現在も小3から中学受験対策を始める家庭が多いです。そこは変わらないものの、とりわけ本塾の塾生の中で未就学児の弟や妹がいるご家庭から、「小学校に入学する前に有利な状況で入学したい」「今、別の塾に通っているけど、よりレベルの高いことをさせたいので、そういうコースがあればいい」といった声を耳にする機会が増えていました。

 一方で、われわれも進学塾ですから、お預かりしている子どもたちが入試で成果を出せるような指導を低学年のうちからしっかりつくっていきたいという思いがあります。

 私自身も30年前に中学受験を経験しましたが、1990年代当時は小5から始めれば間に合うどころか、受験生の多くが小5からスタートしていたと思うんです。2年間で詰め込めば合格圏にたどり着くような入試でしたから。

 しかし、現在は、中受(中学受験)でも高受(高校受験)でも大学受験でも、詰め込んでおけば合格できる学校がほぼなくなってきています。とりわけ学力上位校になるほど、詰め込み学習だけでは通用しない、初見の問題によって試行錯誤させたり、自分の考えを主張させたりするような問題が多くなっています。じゃあ低学年のうちに何をしておけばいいのか。思考力とか判断力が要求される問題が多くなっているからこそ、前の頭が柔らかい時期から思考の土台をつくることが、入試で勝つために、成果を出すために、必要なことなんじゃないかと。

 今、大手塾を含めたいろんな塾が、低学年はもちろん未就学児へも手を広げ始めていますが、われわれにはもともとグループ会社にアイ・シー・イー幼児教室があり、未就学児指導に対する知見が蓄積されています。未就学児に対する正しい指導ができる人材やノウハウがあるので、アイ・シー・イーとその知見を共有することで良いものがつくれると思い、スタートしたわけです。

――思考力や判断力を鍛えるというお話がありましたが、それは小学校受験の指導内容とどのように違うのでしょうか。

 もちろん同じものもありますが、われわれには中学受験のノウハウがあるので、融合したカリキュラムを作っています。

 例えば「思考力プリント」と呼んでいる教材でいえば、中学入試に直結するものとして、図形に補助線を引く問題を、自分で手を動かしながら感覚的に理解できるよう工夫しています。

 小1以降は、ベースの教材である「新演習」という小6まで使っている教材に加えて、市販もしている『Z会 小学生のための思考力ひろがるワーク』などの教材を使い、小1から算数・国語の基礎的な部分に加えて思考力を育むような問題を取り扱っていきます。

――そもそも思考力、判断力は幼児期からの塾通いで誰でも伸びるのでしょうか?未就学児から中受のために塾通いする家庭が想定する志望校は、いわゆる御三家レベルの難関校を想定しているケースも多いと思うのですが、それらの学校の入試問題の難易度を見ると、早期から努力すればどうにかなるレベルなのかな、という疑問があるのですが……。

次ページでは、年長児から中学受験塾に通うことの効果に加え、授業・教材の中身、そして家庭の志望校まで栄光ゼミナールが答える。