地政学は相場分析の「武器」になる!ハートランド理論が示すウクライナ侵攻の“必然”と日本株への影響写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

国際政治・安全保障で地理的要素を重視

 本連載では10回にわたり、地政学リスクが株式相場に与える影響を分析していく。

 地政学(Geopolitics)は、国際政治や安全保障において地理的要素を重視する学問だ。20世紀初頭、地政学の開祖と言われる英国の地理学者ハルフォード・マッキンダーは「ハートランド理論」にて、「ハートランド」と「リムランド」の中間に位置する東欧の地政学的重要性を説いた。

 ハートランドはユーラシア大陸の内陸部(モンゴル帝国や旧ソ連の領土に相当)、リムランドはハートランドの周辺地域(極東、中国、東南アジア、インド、欧州。米国の地理学者ニコラス・スパイクマンが命名)を指す。東欧は、民族、言語、宗教、文化などが複雑に入り混じる。マッキンダーは「東欧を制する者がハートランドを制し、ハートランドを制する者が世界島(ユーラシア大陸とアフリカ大陸)を制する」とし、「世界島を制する者が世界を制する。よって、東欧を制する者が世界を制する」と主張した。

 マッキンダーの予言通り、東欧は歴史的に世界的な戦乱を招いてきた。第1次世界大戦はボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボでのオーストリア皇太子暗殺、第2次世界大戦はドイツとソ連によるポーランド侵攻によって始まった。戦後も、ベルリン封鎖、ハンガリー動乱、プラハの春、ベルリンの壁崩壊、ユーゴスラビア内戦、ロシアのウクライナ侵攻など、世界を揺るがす事件が数多く発生した。