決定的な差になりやすいのは、住んでいる場所と、そこで生まれる比較の環境です。
たとえば都心部、とくに周囲の生活水準が高いエリアで暮らしていると、見えない出費が増えやすくなります。
住居費が高いのはもちろん、通勤費や外食費、子どもの教育費、習い事の相場、付き合いにかかる交際費まで、全体の基準が上がりやすいのです。
そこに加えて、周囲の持ち物や暮らしぶりが自然と目に入ります。高級車、ブランド品、広い住まい、華やかなレジャー。別にだれかに強制されるわけではないのに、「あまり見劣りしたくない」という気持ちが少しずつ家計を圧迫していきます。
こうなると、年収1800万円あっても、手元に残るお金は思ったほど多くありません。
むしろ、収入が高いぶん生活水準も上がり、固定費も膨らみやすい。住宅ローンや教育費、日々の支出に追われ、「これだけ稼いでいるのに、なぜか余裕がない」という状態になりやすいのです。
年収の数字だけを見れば恵まれているようでも、本人の実感としては「いつもお金に追われている」ということが起こります。
冒頭で紹介した世帯年収1800万円の夫婦は、横浜駅周辺の高級住宅街に小さい戸建てを購入しました。不動産高騰の市場にあって、数年間を経ても資産価値もほとんど上がっていないそうです。加えて、たまにしか使わない自動車を所有し、共働きのため外食が多く、妻はブランドのバッグや化粧品を買っては自慢げにインスタにアップしています。
これでは、いくらお金があっても足りませんし、お金があればある分だけ使う思考から抜け出せておらず、金欠感から逃れることはできません。住み替えのような、まとまったお金必要なときにも対応できないのです。
一方で、地方や郊外に住む家庭は、年収1000万円でもかなり豊かに暮らせることがあります。
住居費の負担が相対的に軽く、日常的な支出も抑えやすい。周囲との比較で無理に生活水準を引き上げる圧力も、都市部ほど強くありません。派手な消費をしなくても目立ちませんし、軽自動車に乗り、実用的な服を着ていても、特に困ることはない。
すると、収入の絶対額ではなく、使えるお金の余裕と心の余裕が生まれやすくなります。
冒頭で紹介した世帯年収1000万円の夫婦は、車も所有せず、外食もほとんどしません。妻の手料理が抜群に美味しいそうですが、それだけでなく、妻が倹約家でブランド品を購入するのは記念日のときだけ。将来の教育や老後の資金も夫婦で試算していました。
妻の給料と夫のボーナスはすべて貯金し、生活費は夫の月給分のみと徹底しています。1件目の物件は、しっかり値上がりするエリアのマンションを購入し、住み替えで数千万円の売却益を手に入れたそうです。
前述の世帯年収1800万円の夫婦とどちらが精神的にも物理的にも豊かなのかは言うまでもありません。
この「比較環境」の影響をうかがわせる研究もあります。







