2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容をもとに、抜粋・再構成して特別公開する。

組織の違和感Photo: Adobe Stock

不可解な行動を目の当たりにしたら

 新年度が始まり、新しいメンバーにも慣れてきた頃でしょうか。

 こんなとき起こりがちなのは、「あれ、この人なんでこんな行動をするんだろう」という違和感かもしれません。

 それを放置して、「この人はできない」「〇〇ガチャはずれだと決めつける前に、やってほしいことがあります。

人はみな違う色のメガネをかけている

「決めつけ」の奥底には、それぞれの「当たり前」「ちゃんと」「普通」があります。このことを私は、次のように表現しています。

「人はみな違う色のメガネをかけている」

 本来、物事に色はついていません。
 ところが、赤いメガネをかけている人には世界が赤く見え、青いメガネをかけている人には世界が青く見えます。

 同じものを見ても、「解釈」が変わるのです。

 メガネの色は意図して選べるものではなく、自然とついてしまうものでもあります。

 遺伝的な要素や脳の特性、生まれ育った環境に、これまで繰り返し吹き込まれてきた言葉など、さまざまな背景がメガネを色づけます。万人が持つ個体差によって、見ている景色が変わる。

 それは言わば「解釈のクセの違い」「生き方のクセの違い」なのです。

決めつけなければラクになる

 にもかかわらず、私たちはつい、自分と違う色のメガネをかけている人を否定したり、非難したりしがちです。

 なにせ、自分のかけているメガネでしか世の中を見たことがないですし、残念ながら自分では自分のかけているメガネの色に気づけないものですから、自分の「当たり前」で相手を決めつけてしまうのです。

 しかし、それではお互いの持ち味を活かし合うような仕事はできません。新しいものも生まれないでしょう。

 あいつはこうだと決めつけて、相手を変えよう変えようとやきもきするぐらいなら、相性の問題として組み合わせを調整したほうが、自分自身にも余裕が生まれます。

 違うメガネをかけた相手に最初は違和感をおぼえがちになるでしょう。しかし、実は凸凹のように補完関係にあって、決めつけさえしなければ、自分もラクに仕事ができるようになっていくのです。

評価よりまず「交通整理」を

 これまで約2万人の働く人たちと接してきましたが、その経験から私は、

「ちゃんとやっていない人」が職場にいることが問題なのではなく、その職場の「当たり前」「ちゃんと」「普通」が一体どういう言動なのかを言語化できていないことこそが問題

 だと確信しています。

 いけしゃあしゃあとそんなあいまいな言葉で他人に評価目線を注ぐのであれば、これらの言葉をどれほど解きほぐし、いろんなメガネをかけたメンバーにわかるように伝えたのか? これこそを振り返るべきです。

 個人に良し悪しをつけるのは、終わりがありません。それよりも、職場の多様な人の「当たり前」「ちゃんと」「普通」を交通整理することのほうが、よっぽど効果的です。

 新しいメンバーが来たときこそ、まさに交通整理のチャンスなのです。