
環の親権をめぐる争い
婚家に戻ったりん。姑・貞(根岸季衣)が環を連れている。大切にされてはいるようだ。
そこに亀吉も来て、貞が席を外し、りんと亀吉が2人きりになる。
気まずい。風がビューッと吹く。
りんは亀吉に離縁してほしいと頼むと意外とあっさり承諾された。ただし、環は渡さない。それが条件。
亀吉にはほかにも先妻との間にできた子もいるし、環は女の子なのであまり大切にされていなかった。それでもこういうときは親権を主張する。意地悪である。まあ、家を守るためには子はいたほうがいい。跡継ぎがいつなんどきどうなるかわからないから。
「環を引き取れんなら出ていきません」とりん。百歩譲って奥田家で育てるとしたら、女学校に入れてほしいが、亀吉はそんな気はない。
「女が学つけても仕方ねえつってんだろ」
「でしたら、環は絶対に渡しません。私が育てます」
すると亀吉は、新しい男と逢引していたらしいじゃないかと言い出す。現代だと探偵や興信所を雇って調べていた、みたいな感じである。
「それはお客さんで」とか「お金の心配ならいりません」というりんの答えは亀吉の誤解を招く。お客さんにお金を出してもらっているみたいに受け取られてしまう。
りんは慌てて真意を語る。
トレインドナース(技術や看護の知識を学んだ看護師)になると、月30円、もしかしたらもっと収入を得ることができると説明するが、美津だって理解できなかったのだから、亀吉に日本には前例のない女性の仕事が理解できるわけもない。どうしても病人の看病を下に見てしまう。そういう時代だから致し方ない。
「なんて言われても構いません。私はそうは思わないから。熱を出した環に、倒れて弱っていった父上に、この手を差し出したい」と主張するりん。
「誰かが、負けたもの弱ったものの側に立ち、手を差し出せる世でなければ寂しい。さみし過ぎる」と亡き父・信右衛門(北村一輝)が語ったことを思い出す。
ずっと悩んでいたけれど、気持ちが定まった。そういう意味では、亀吉に感謝であろう。







