職場で上司に意見を伝える若手社員の様子写真はイメージです Photo:PIXTA

この時期、そろそろ今年の新人が配属されてきた部署もあるかもしれない。新人や若手社員から「この仕事、私の成長にどうつながるんですか?」と業務についてたずねられたり、「私がやりたいのはこのような仕事ではありません」と自分の配属に不満を口にする新人を見たりした……という人もいるのではないか。なぜ最近の新人はこのような発言をするのか?そこにはもっともな事情がある。(心理学博士 MP人間科学研所代表 榎本博明)

先の読めない時代、働き続けるにはどんな準備が必要?

 止まるところを知らないAIの発達により、私たちの生活も仕事も、絶え間ない変化にさらされている。この先、どんな社会になっていくのか、どんな仕事が生き残り、どんな新たな仕事が登場するのか、まったく見当がつかない。

 このような先の読めない時代を生き抜いていくためには、どのような準備が必要なのだろうか。変化の少ない時代なら、将来を見通して自分のキャリア像を具体的に思い描き、そこに至るまでのキャリアの道筋をデザインする、いわゆるキャリアデザインも有効だったかもしれない。

 しかし、ずっと先の将来どころか数年先も見通せない今の時代に、果たしてキャリアデザインは有効なのだろうか。

「この仕事は私のキャリアデザインに関係あるんですか?」

 4月下旬となり、新人が配属されてきた部署もあるかもしれない。最近の新人の発言や態度に違和感を覚える、という管理職や経営者の声を耳にすることがある。特に、キャリアデザインについての意識だ。

 就職後に配属された部署が自分の希望するものと違ったために、「私がやりたいのはこのような仕事ではありません」と新人が拒絶反応を示す。

 また、与えられた職務が自分のキャリアデザインとかけ離れているために、

「この仕事は私のキャリアデザインにどう関係するんですか?」

「その仕事は私の成長にどうつながるんでしょうか?」

 などの疑問を、新人が上司にぶつけてくる……といった反応である。

 どのように対応しているのかは現場によるだろうが、そこまでキャリアデザインに固執する姿勢には、危うさを感じざるを得ない。先の読めない時代なのに、若者はなぜ「将来の自分のキャリア像をデザインできる」と信じ込めるのだろうか?