「老後のためにNISAを始めたのに、家計が以前より苦しくなった気がする」という違和感を感じたことが、ご相談に至ったきっかけです。
美歩さんは、夫の明良さん(仮名・56歳・会社員・営業職)と、社会人になった息子2人(28歳・25歳)の4人暮らし。世帯の手取り月収は夫婦合わせて約58万円(夫36万円・妻22万円)で、支出は合計50万円ほど。数字だけ見れば、8万円ほど余裕のある家計でした。
改正されたNISAが始まった後、年間120万円が上限のつみたて投資枠を埋めるために、クレジットカードで毎月10万円をつみたてる設定をしたそうです。毎月の平均的な黒字額よりも2万円多くなってしまいますが、「節約すれば何とかなる」と思っていたそうです。
はじめの数カ月は、食費を削ったり、日用品や水道光熱費にも気を配ったりし、何とか10万円を捻出できていました。ですが、ずっと継続することは難しかったようです。次第にいつもの8万円ほどの黒字しか出せなくなり、時には8万円を下回る月も出てきました。
本来なら投資の積立額を見直すべき状況だったのですが、毎月10万円ずつ積み上がるNISA口座を見ていると、うれしさや安心感がわいてきて、積立額を減らそうとはどうしても思えません。
はじめは何とか回せていた支払いもだんだんときつくなり、クレジットカードで買い物をし、支払額を調整するためにリボルビング払いを後から設定したり、支払いが難しい時はキャッシングを使う、というようなことも始めていたのです。
収入不足と支出増加
を招く絶対NG行為
クレジットカードのリボルビング払いやキャッシングは、手数料などの名目で15~18%ほどの利息がかかります。NISAをそれほどの利率で運用していくのは簡単ではありません。結局は将来のためと信じて続けた投資が、気づかないうちに家計を傷つけていたのです。
また、美歩さんが投資をやめられないのは「老後のため」だけではありません。クレジットカードでの投資による「ポイント還元」も手放せなかったのです。小遣い代わりに美歩さんの欲しいものを手に入れられるポイントは、クレジットカードを使う目的にもなっていたのです。
ポイント還元でどれだけ得をしているか、リボ払いの手数料でどれだけ損をしているか。また投資で出る利益などを把握していれば、損得の判断はできたはずでした。
また、美歩さんのご家庭の預貯金はほとんどありません。あっても社内預金などのすぐには引き出しにくいもので、手元に自由に使える預貯金はほぼありません。このことも今回のクレジットカードの失敗につながりました。







