そしてさらなる問題は、実家暮らしから離れられない2人の息子です。家賃が高い、生活費を払えるだけの給料がもらえていないと言いながら実家で暮らし、自分の給与は全額自分の小遣いのように使っています。それぞれ手取りで20万円強はもらっているのに、家賃も食費も家計に入れていませんでした。

 そのため節約にも非協力的。美歩さんがあと2万円を捻出するために頑張っても継続できなかった理由の1つが、ここにありました。

 どうしてこうなったのかというと「子どもに生活費を入れてとは言いにくかった」ということが理由でした。子どもはいつまでも世話をしてあげるべき存在のままだったようで、未歩さんは子離れができていなかったということです。

 では、夫の明良さんはこの状況をどう見ていたのでしょうか。

 帰宅がいつも遅く、家でお金の話ができる雰囲気ではなかったといいます。子どものことを相談しても「自分で決めさせろ」と言うばかりで、結局は美歩さんが家計も子どもへの対応も1人で抱え込む状況が続いていました。

「自分で決めさせろ」というスタンスは、ある意味では子離れができていたとも言えます。しかし家計の現実から距離を置き続けた結果、問題は静かに積み重なっていきました。夫婦で家計に向き合う機会が早い段階であれば、また違う結果になっていたかもしれません。

 今回の田中家のケースからは、3つのことが見えてきます。

1. 無理なつみたて投資は生活を圧迫し、債務さえ生み出してしまうこと
2. ポイント目当てでクレジットカードを使い続けると予算以上に使ってしまう可能性があること
3. 成人した子どもと同居するには、生活費の分担についてきちんと話し合っておく必要があること

 これらへの備えが不足していたために、田中家は資産を増やしながら家計は破綻に傾くという、本末転倒な状況になってしまいました。

 物価高で生活が苦しいと言われる今、支出の優先順位を考えることはとても大切です。投資をすることはもちろん意味のあることですが、今をしっかり暮らすことより優先すべきものでしょうか。今一度、無理な額を投資していないか、ポイントばかりを追い求めていないか、見直してみることをおすすめします。