屋外で運動後に疲れた様子の高齢女性写真はイメージです Photo:PIXTA

がん予防というと、これまで1日1万歩が推奨されてきた。しかし、仕事に追われる中で、この歩数を毎日達成するのは難しい。実は、最新の研究でがん予防に必要な運動はこれよりずっと少なくていいことがわかってきた。無理なく続けられて、かつ死亡リスクも下げる現実的な運動量とは?※本稿は、医師の川口知哉『「がん活」のすすめ 科学と名言でつくる「がんを寄せつけない習慣」』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

有酸素運動だけでも
がん予防の効果は大

 運動の効果は「どれくらいの量をするか」だけでなく、「どんな種類の運動をするか」によっても異なる。

 運動には、酸素を使う有酸素運動と、酸素を使わず筋肉を動かす運動がある。有酸素運動は、心臓や肺の働きを強め、血糖や脂質の代謝を整え、炎症を抑えることが知られている。そのため、大腸がんや膵がんなどの代謝異常と関わるがんに対して強い予防効果を示す。

 一方、筋力トレーニングは筋肉量を維持・増やすことで基礎代謝を高め、肥満や筋肉の衰えを防ぐ。とくに高齢者では筋肉の減少が糖代謝の悪化につながるため、筋トレは乳がんや肝がんといったホルモン代謝や脂肪肝に関係するがんのリスクを下げる可能性がある。

 国際的に行われた複数の前向きコホート研究(編集部注/共通の特徴がある参加者を現在から将来に向かって追跡し、疾患の発生率を比較する調査法)やメタ解析(編集部注/複数の研究結果を1つにまとめ、統計的に再解析すること)によると、有酸素運動だけを行っている人でも、がん死亡リスクが有意に低下すると報告されている。