室内でタバコを吸う高齢男性写真はイメージです Photo:PIXTA

喫煙ががん最大の危険因子なのは周知の事実だが、「今さらやめても意味がない」と考える愛煙家は少なくない。しかし最新の疫学研究で、禁煙は何歳から始めても遅くないということがわかってきた。今すぐたばこをやめたくなる、禁煙の驚きの健康効果に迫る。※本稿は、医師の川口知哉『「がん活」のすすめ 科学と名言でつくる「がんを寄せつけない習慣」』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

肺がんの原因が喫煙だと
わかったのは割と最近

 喫煙と肺がんの関係はいまでこそ常識となっているが、科学的に証明されたのは、それほど昔のことではない。

 1951年、イギリスのドール博士とヒル博士は、4万人もの医師を対象にした大規模な追跡研究を半世紀以上にわたって行い、喫煙と肺がんの因果関係を初めて数字で示した。「英国医師研究(British Doctors Study)」と呼ばれる前向きコホート(編集部注/共通の特徴がある参加者を現在から将来に向かって追跡し、疾患の発生率を比較する調査法)だ。

 1954年には、喫煙者は非喫煙者に比べて肺がん死亡率が大幅に高いという報告を発表し、医学界の常識を覆した。一方で、この研究では、禁煙した年齢が若いほど、肺がん死亡および全死亡のリスクが低下することが確認され、禁煙の長期的な利益が明らかとなった。

 当時は、肺がんの原因は大気汚染や排気ガスであると考えられており、たばこが直接関与していると真剣に信じる人は少なかった。しかし彼らのデータは明確であり、以後は、心筋梗塞や慢性肺疾患、食道がんも喫煙と関連することが次々に示されていった。