エネルギー危機、インフレ、人手不足で明暗!通期決算「勝ち組&負け組」【2026春】#4Photo by Reiji Murai

2026年3月期の通信企業の決算は、NTTドコモとKDDIの携帯電話事業に明暗が見られた。同じタイミングで値上げに踏み切った両社を分けたのは何か。ソフトバンクは27年3月期に本格値上げを予定しており、通信料収入の増加を見込む。大手3社が値上げに動く中、昨年まで「値上げしない」宣言をしていた楽天グループも対応を迫られている。特集『エネルギー危機、インフレ、人手不足で明暗!通期決算「勝ち組&負け組」【2026春】』の本稿では、通信4社の財務を通じて、今後の携帯料金の値上げの行方を探る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

ソフトバンクが踏み込む値上げの効果とは?
楽天モバイルも物価高の影響じわり

 NTTグループの“稼ぎ頭”であるNTTドコモの2026年3月期の営業利益は前年比7.7%減の9421億円と2期連続の減益で、1兆円の水準を割り込んだ。

 主力の携帯電話事業を担う「コンシューマ通信」セグメントの営業利益は同35.5%減の3046億円で大幅減益を計上。競合他社との競争激化で販売促進費(販促費)を積み増したことが利益を圧迫し、同セグメントは2期連続で2桁マイナスとなった。

 ドコモは25年6月に実質値上げに踏み切ったが、通信料収入の増加につなげられていない状況だ。一方で、同じタイミングで値上げに踏み切ったKDDIの通信事業の収入は劇的な増加を果たして絶好調だった。

 ドコモとKDDIの明暗が分かれる中で、ソフトバンクも27年3月期に値上げに踏み切る予定だが、KDDIと同じく通信収入の増加につなげられるかが問われる。

 大手3社の値上げが出そろう中、昨年まで「値上げしない」宣言を表明していた楽天グループも損益悪化のリスクが表面化しており、値上げも選択肢に入りつつある。そうなると、全社そろって値上げということになる。

 そもそも、なぜ、KDDIは値上げに成功しドコモは苦戦したのか。そして、ソフトバンクの値上げはKDDIのように成功するのか。楽天の値上げの可能性はどれくらい高いのか。さらには「2巡目値上げ」といえる、もう一段の携帯料金の引き上げ競争は起こるのか。

 次ページでは、通信4社の財務データ分析と取材による深掘りで、その四大疑問に応え、27年3月期以降の通信キャリアの値上げの行方を見通す。さらに、独自に入手した内部データから、ドコモの26年3月期のMNP(電話番号を変えずに他社に乗り換える番号持ち運び制度)の実績で、ドコモの苦境の要因も明らかにしよう。