これまで薬剤師確保が大きな参入障壁となっていた医薬品販売。しかし、来年6月に施行される改正薬事法でその障壁は崩され、新たな専門家、“登録販売者”が医薬品の一部を管理・販売できるようになる。これにより、ありとあらゆる小売りが医薬品販売に参入。ドラッグストア業界は、他業態との本格的な競争に晒される。競争激化のなか、勝ち残る企業はどこか?
「まずは薬剤師の確保だ」。10月30日、調剤薬局2位の日本調剤との業務提携に向けた協議開始の発表の場で、ドラッグストア業界1位のマツモトキヨシホールディングス社長・松本南海雄氏は、提携の目的をこう述べた。来年6月の改正薬事法の施行に向け、薬剤師の争奪戦が激化している。
薬事法の改正は過去に何度もあったが、今回の改正は、医薬品の販売の部分にメスを入れるという点で、ドラッグストア業界への影響は今まで以上に大きい。
医薬品は大きく医療用医薬品と一般用医薬品に分けられる。医薬品は、効能・効果がある一方で、副作用などのリスクを併せ持つ。そのため薬剤師など、専門家による情報提供が不可欠だが、現行の薬事法では一般用医薬品の販売において、それが明確に義務づけられていない。よって、販売時の薬剤師不在は日常茶飯事だ。
競争激化の医薬品販売
調剤併設型に商機あり
この問題を解決しようというのが今回の改正だが、すべての医薬品販売を薬剤師が請け負うのは、薬剤師確保やコストの面からいって、非現実的。
そこで、リスクの高低に応じて一般用医薬品を第1類から第3類の3グループに分類。販売時の情報提供の程度に差をつけ、第2類、第3類医薬品は、薬剤師以外の新たな専門家、“登録販売者”も管理・販売できるようにした。
登録販売者制度が導入されることにより、ドラッグストアが常に抱えていた「薬剤師不足」の悩みは解消されたかに見えた。しかしこれは同時に、薬剤師確保という医薬品販売最大の参入障壁を取り払うことを意味する。