気づけばスマホばかり見ている。動画、SNS、ゲーム、ニュース、買い物…見始めるとあっという間に数時間溶けている。「一度きりの人生なのに、スマホばかり見ていていいのか?」――そんなふうに立ち止まりたくなった人におすすめの本がある。書籍『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』(キム・ソクチェ著/岡崎暢子訳)だ。本書の発売を記念して、ライターの照宮遼子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

お金が貯まらない人が必ずやっている習慣・ワースト1Photo: Adobe Stock

タイムセールに踊らされた夜

夜9時ごろ、ファッションサイトから「タイムセールがまもなく終了する」という通知が届いた。

慌てて、前から気になっていたトップスやボトムスを、カートに放り込んでいく。
だが、サイズが合うか不安になり、「あとで口コミを見て決めよう」といったん画面を閉じた。

その後、洗い物をして、お風呂に入り、ダラダラしているうちに日付が変わってしまった。

慌ててアプリを開いたが、セールは終了していた。もちろん、カートの中身は、すべて定価に戻っている。

さっきまでの値段ではもう買えない。なんだか損した気分になった。

なぜ「損した気分」に引きずられるのか

神経内科専門医として脳科学分野の第一線で活躍するキム・ソクチェ氏は、著書『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』でこう述べている。

「人は得するよりも『損をしたくない』という気持ちの方が何倍も強いのです。だから『タイムセールを逃してしまう後悔』は、実際に得られる経済利益よりもずっと強烈に感じられるというわけです。」
――『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』より

あの夜の感覚は、本当の損失ではなく、脳が生み出した反応にすぎなかった。

この「損をしたくない」という感情に引っ張られないためには、衝動にすぐ反応しないことが大切だ。

「逃したら後悔する」と感じたとき、一度立ち止まって、本当に必要かどうかを考える。

ほんの少し間を置くだけで、衝動に流される回数は大きく減っていくのだ。

買うか迷ったときのシンプルな基準

以前、こんな言葉を見かけた。

「悩む理由が値段なら買え。買う理由が値段ならやめておけ」

安いから、今だけだから、という理由で買おうとしているときほど、あとで振り返ると「本当に欲しかったものではなかった」と気づくことが多い。

逆に、値段で迷っているなら、それだけ欲しい理由があるということだ。

ほんの少し間を置くだけで、「衝動」に流されなくなる

結局、あの夜にカートに入れていたものは、何ひとつ買わなかった。それでも、何も困っていない。あのとき欲しかった理由は、安かった、ただそれだけだった。

買う理由を言葉にする。
実物を見る、時間を置く。

ほんの少し手間をかけるだけで、選び方は驚くほど変わる。

『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』では、なぜ人は衝動に流されてしまうのか、その理由と向き合い方について語られている。

本書で紹介されている習慣を取り入れることで、「今すぐ買わなきゃ」と思ったときでも、その気持ちに振り回されなくなるだろう。

(本稿は『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』に関する特別投稿です)